JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT39] [JJ] インフラサウンド及び関連波動が繋ぐ多圏融合地球物理学の新描像

2017年5月22日(月) 15:30 〜 17:00 A05 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:山本 真行(高知工科大学 システム工学群)、新井 伸夫(名古屋大学減災連携研究センター)、市原 美恵(東京大学地震研究所)、座長:山本 真行(高知工科大学 システム工学群)、座長:市原 美恵(東京大学地震研究所)

15:50 〜 16:10

[MTT39-02] 地震が励起するラム波、内部重力波、音波についての考察

★招待講演

*中島 健介1城内 響2 (1.九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門、2.九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻)

キーワード:ラム波、内部重力波、重力音波、インフラサウンド、地震

はじめに

地震断層運動あるいは、それに伴う海面の鉛直変位によって、大気中に波動が励起されることは理論的にも観測的にも知られている。しかし、こうした大気下面変位による大気波動励起の力学については必ずしも良く理解できていないように思われる。本研究では、圧縮性成層大気の波動について、水平方向に周期性を仮定した鉛直1次元線形モデルを構成し、下面境界の変位による波動の励起特性をしらべた。



モデルと計算設定

2次元非回転系の圧縮性大気の支配方程式(例えば, 小倉1983)を線形化し, さらに, 擾乱の水平構造を波型と仮定すると, 擾乱の鉛直伝播についての時間発展方程式が得られる. これを差分化して初期値境界値問題として数値的に解く. 基本場(静水圧平衡していると仮定)の温度構造としては標準的な大気構造を与え, 一般風は考えない. 初期条件としは擾乱が存在しないとする. 下面境界として地震断層などを想定した時間変化する鉛直変位を与えるが, 地震断層運動を想定して, 鉛直流が正のパルス状, したがって, 時間平均した正味の変位として正の偏差を伴うものとする.



結果

大気中に励起される波動の種類は, 断層運動の時間スケールに依存して異なる. 断層運動が音波遮断周波数に比べてゆっくり生じる場合には, もっぱら下層大気のラム波だけが励起される. 逆に, 断層運動が音波遮断周波数よりも速く生じる場合には, 最初に音波が生じて高層大気にまで伝播し, その後, 高高度領域で内部重力波が生じる. ラム波の励起振幅は小さい.


考察

興味深い結果は, 高高度の内部重力波の励起に音波の励起が必要なことである. 数値解の様相(当日示す)をみると, 断層運動が速やかである場合には, 上向き伝播する音波の通過に伴って, 大気の正味上向きの変位が生じ, これが内部重力波の励起につながっている. その他の詳細は当日示す.