JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT39] [JJ] インフラサウンド及び関連波動が繋ぐ多圏融合地球物理学の新描像

2017年5月22日(月) 15:30 〜 17:00 A05 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:山本 真行(高知工科大学 システム工学群)、新井 伸夫(名古屋大学減災連携研究センター)、市原 美恵(東京大学地震研究所)、座長:山本 真行(高知工科大学 システム工学群)、座長:市原 美恵(東京大学地震研究所)

16:25 〜 16:40

[MTT39-04] 3D地震計アレイによる2013年12月17日の琵琶湖付近の火球で生じた衝撃波の観測

*武田 直人1今西 和俊1松本 則夫1 (1.国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

キーワード:火球、地震計アレイ

地震記録を使って,火球の検知やその飛跡を求めた例は数多く報告されている.火球の様子を明らかにする手段として,ほかにもビデオカメラ映像や音波観測があるが,地震計をセンサーとした場合,その観測点数の多さや,天候に大きく左右されないのがメリットである(例えばIshihara et al. EPS 2003).高知新聞で報道された2016年2月29日未明の高知県南国市近辺での衝撃波も,周囲の地震記録から火球の可能性が考えられる.その反面,地震記録では衝撃波の特徴である(逆)N型波形が不明瞭であったり,火球の軌跡や速度が推定できない場合があることも報告されている(Yamada and Mori EPS 2012).本報告では,稠密3D地震計アレイの波形記録を基に,2013年12月17日夜,琵琶湖付近で観測された火球の飛行速度を推定した.
我々は,深部低周波微動の研究のために三重県松阪市に於いて2011年から地震計アレイによる観測を実施している(例えば武田ほか JpGU 2015).この地震計アレイは産総研の地下水等総合観測施設を中心に,合計46個の地震計が最大距離10kmの範囲の地表に設置されている.また,総合観測施設では鉛直3深度(25m,164m,595m)に埋設されているボアホール型地震計(Imanishi et al. GRL 2011)がある.
それらの地震計のうち地表設置のものにはオンセットが明瞭な2013年の火球による衝撃波のN型波形が記録されていた.一方,ボアホール型地震計の記録ではオンセットが不明瞭であり,一番深い設置深度595mの記録では波形自体の確認が困難であった.
波形が明瞭な地表観測点波形記録だけを使用して,衝撃波の到達時刻を読み取り,音源が点の場合と,一定速度で移動する場合の音源位置をグリッドサーチで求めた.その結果,一定速度で移動している場合の方が各観測点の到達時刻をより良く説明出来た.この時の音源の速さは27km/s,突入仰角43°になった.この値は,ビデオカメラ映像の解析から求めた値25km/s,47°(SonotaCo Network Japan)と良く一致している.