[MZZ42-P11] 地学会編『本邦化石産地目録』(1884)からわかること
キーワード:地学会、化石産地、明治17年
2015年秋,東京大学理学部地球惑星科学図書室保存書庫にて,本目録を発見した.本目録では,当時,欧米から直接入ってきた学問,中国を経由して入ってきた学問,日本に根付いていた博物学などを総動員して,新しい学問を作ろうとしたことがよくわかる.
明治10年(1877)に東京大学が創立し,明治11年3月27日に,生物・地質の学生によって博物友の会ができた.生物の会は東京植物会や東京動物会として次々と分化した.地質専門のものは,博物友の会を保存して,地学研究に従事していたが,明治16年5月10日に地学会と改名した.
目録では,古生紀煤炭期の産出化石は,石蓮[ウミユリ],フズリナ虫,貝石,珊瑚,多孔虫[有孔虫のことか]など,中生紀三聯期は貝石のみ,中生紀侏羅期の産出化石は,芒刺虫[ウニ],珊瑚,貝石,木葉石,アンモニテス,介石(トリゴニヤ)など,中生紀白亜期からは貝石,菖蒲石[コダイアマモ]の化石,第三紀は介石,木葉石,蟹石,貝石,木化石,多孔虫,珊瑚(灰石柘撥),石牙,芒刺虫,魚骨石,魚骨,魚石,方言百足石[ウミユリ],セルプラ虫[カンザシゴカイ],魚紋石など.時期未定としては,ラヂオラリヤ虫,イチオラリヤ虫[不明],多孔虫,貝石,海藻,木葉石,オストラコーダ虫,木化石が記載されている.北海道からは,木葉石,介化石,介石,インフゾリヤ[微生物]土,木化石,大カボチャ石[アンモナイト],カボチャ石[アンモナイト],貝石が記されている.
岩石名の舎爾や柘撥は1871年に中国で発行された『金石識別』が初出と思われる.『金石識別』はDana(1857)の漢訳書である.舎爾はshaleの発音そのままに中国語に訳され,Tufaは拓發と訳したのに,日本に入ってきてから,柘撥あるいは拓撥と書かれたらしい(武上,2014)
<文献>
武上真理子,2014, 漢譯地質學書に見る「西學東漸」-江南製造局刊「地學淺釋」を例として.東洋史研究、73(3),95-128.
明治10年(1877)に東京大学が創立し,明治11年3月27日に,生物・地質の学生によって博物友の会ができた.生物の会は東京植物会や東京動物会として次々と分化した.地質専門のものは,博物友の会を保存して,地学研究に従事していたが,明治16年5月10日に地学会と改名した.
目録では,古生紀煤炭期の産出化石は,石蓮[ウミユリ],フズリナ虫,貝石,珊瑚,多孔虫[有孔虫のことか]など,中生紀三聯期は貝石のみ,中生紀侏羅期の産出化石は,芒刺虫[ウニ],珊瑚,貝石,木葉石,アンモニテス,介石(トリゴニヤ)など,中生紀白亜期からは貝石,菖蒲石[コダイアマモ]の化石,第三紀は介石,木葉石,蟹石,貝石,木化石,多孔虫,珊瑚(灰石柘撥),石牙,芒刺虫,魚骨石,魚骨,魚石,方言百足石[ウミユリ],セルプラ虫[カンザシゴカイ],魚紋石など.時期未定としては,ラヂオラリヤ虫,イチオラリヤ虫[不明],多孔虫,貝石,海藻,木葉石,オストラコーダ虫,木化石が記載されている.北海道からは,木葉石,介化石,介石,インフゾリヤ[微生物]土,木化石,大カボチャ石[アンモナイト],カボチャ石[アンモナイト],貝石が記されている.
岩石名の舎爾や柘撥は1871年に中国で発行された『金石識別』が初出と思われる.『金石識別』はDana(1857)の漢訳書である.舎爾はshaleの発音そのままに中国語に訳され,Tufaは拓發と訳したのに,日本に入ってきてから,柘撥あるいは拓撥と書かれたらしい(武上,2014)
<文献>
武上真理子,2014, 漢譯地質學書に見る「西學東漸」-江南製造局刊「地學淺釋」を例として.東洋史研究、73(3),95-128.