JpGU-AGU Joint Meeting 2017

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[JJ] ポスター発表

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[O-05] 高校生によるポスター発表

2017年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

13:45 〜 15:15

[O05-P08] 重金属イオンを吸着した泥炭の再利用方法

*壬生 七星1、*佐藤 圭一1、*今井 みちる1 (1.東京都立多摩科学技術高等学校)

キーワード:泥炭、重金属、吸着、鉛、再利用方法、水質汚濁

先行研究では、日本の廃棄泥炭の使用用途の問題と下水道の問題に着目した。泥炭は繊維質で多くの水分を含むため、地盤沈下などが問題となっているが、泥炭に含まれるフミン酸は高い陽イオン吸着能を持つ。このフミン酸を重金属イオンの吸着剤として利用できないかと考え、吸着実験を行ったところ十分に吸着することができた。
今回の実験では日本の問題ではなく、世界の泥炭問題に着目した。世界には冷帯地域と熱帯地域の大きく分けて2つの地域に泥炭地がある。冷帯地域の泥炭は、気温が低いため分解作用が十分に進まず、堆積したものである。また、熱帯地域では雨量が多いため洪水が発生し、分解が進まず堆積している。現在問題となっているのは、熱帯地域の泥炭に重金属イオンが多く含まれていることである。鉛や銅といった重金属は人体に有害な物質であるため、取り除くことが求められている。
そこで、泥炭から重金属イオンを脱着することを目的とし、鉛を吸着したフミン酸を酸処理して、脱着実験を行った。今回の実験では北海道の泥炭を使用し、国際腐食物質学会法を用いてフミン酸を抽出した。
実験方法は、まず泥炭からフミン酸を抽出する。抽出方法は30g程度の泥炭試料を風乾後、粉砕しての水酸化ナトリウム水溶液(0.5mol/L)を200mL加え遠心分離(3000rpm,10分)し、得られた液層に塩酸(6mol/L)を溶液のpHが1以下になるまで加え遠心分離(3000rpm,10分)し、得られた残渣を凍結乾燥させる。なお吸着実験ではこれを粉末化させたものを用いた。
次にスルホン化フミン酸の調整を行う。調整方法は得られた泥炭フミン酸2.5gに特級硫酸(97.0%)を25mL加え、反応させる(100℃,60min)。反応終了後,反応生成物を冷水に注ぎ,充分水洗いした後、乾燥させた後に粉末化する。
そして吸着実験を行う。実験方法は50.0mL遠沈管に1.00gの吸着剤試料を加え、これに硝酸を用いてpHを2~4の範囲で調整した鉛濃度300ppmの溶液を加え、振とう(18℃,6hour)した後、試料を遠心分離(3000rpm, 10 min)、ろ過した。ろ液中に残存する鉛を定量し、そこから鉛の吸着量を計算する。
最後に吸着後のフミン酸に再生処理を行った。使用した泥炭フミン酸を塩酸(1mol/L)で処理し、遠心分離(3000rpm,5min)し、純水で洗浄した。風乾後、同様に吸着実験を行った。
実験結果から、フミン酸の吸着量よりもスルホン化フミン酸の吸着量ほうが高いことから、スルホン化を行うとフミン酸の吸着量があがること。また、再生処理を行っても吸着量が5%以上変化しないことから、泥炭フミン酸は吸着剤として繰り返し利用できる可能性があることがわかる。
このことから、フミン酸を吸着剤として使用する時に再利用可能で、吸着させた重金属イオンは集約することで金属として使用できる。