JpGU-AGU Joint Meeting 2017

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[JJ] ポスター発表

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[O-05] 高校生によるポスター発表

2017年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

13:45 〜 15:15

[O05-P10] つくば市中心部におけるヒートアイランド現象

*軽辺 凌太1 (1.茨城県立並木中等教育学校)

キーワード:ヒートアイランド現象、強制通風筒、移動観測、土地利用、定置観測

研究の背景・目的
 つくば市に焦点を置き,気温分布と土地利用の関係を研究し,市内の広範囲において定置観測を行った結果,つくば市中心部においてヒートアイランド現象が発生していることがわかったが,特徴を見出せなかった。これまでの研究から、定置観測と移動観測は土地利用と気温の関連性を見るのに適していることがわかっている。また、先行研究から移動観測は強制通風筒を用いることで、高精度な観測を行うことができることがわかっている。そこで,今年度は定置観測と,観測機器に強制通風筒を用いた移動観測を行うことで,土地利用が気温にどれだけ影響するのかを探ることを目的とした。
※ヒートアイランド現象の定義
 都市部の気温が郊外部と比べて,高温を示し,等温線を引くと,都市部を中心とした島のようになる現象のことを指す。
研究の方法
・定置観測
 つくば市内の小中学校9校の百葉箱に気温測定用データロガーを設置し,気温を測定し,半径200・500・1000・2000m圏内の土地利用 (田,その他の農用地,森林,荒地,建物用地,道路,その他の用地,河川地及び湖沼,ゴルフ場)の割合との関係性を調べた。
・移動観測
 自転車に強制通風筒付きの温度計をとりつけ, 10秒間隔で気温・位置情報を測定し,データを気温分布図に表した。
※強制通風筒とは
 ファンなどにより温度センサ周辺の空気を強制的に換気し,温度センサが蓄熱するのを防ぎ,空気自体の温度を測定するための筒
研究の結果・考察
・定置観測
 森林は,特に500mバッファにおいて,強い負の相関があることがわかった。そのスケールにおいて,気温を下げることに関して強い影響を与えると考えられる。
 建物用地は,特に500mバッファにおいて,強い正の相関があることがわかった。そのスケールにおいて,気温を上げることに関して強い影響を与えると考えられる。
・移動観測
 強制通風筒を用いることで,精度の高い観測を行うことができた。また,気温が低い地点の周辺には,森林や農用地が多いことがわかった。森林は気温を下げる効果があると考えられる。一方,気温が高い地点の周辺には建物用地が多いことが分かった。建物用地は気温を上げる効果があると考えられる。
結論
 定置観測の結果から,バッファの影響を考えることで,特に500mバッファで森林と建物用地が気温に対して影響が大きいことがわかった。移動観測の結果から,強制通風筒を用いることにより,精度の高い観測を行うことができた。移動観測に用いる通風筒としては,自然通風筒ではなく,強制通風筒を用いることが望ましいといえる。また,都市スケールにおいては,500mバッファの建物用地と森林が気温に対して敏感に影響することにより,気温変化をもたらすと考えられる。街区スケールでは大きな気温の差はないが,街路樹があることにより,少なからず気温を下げることに貢献しているのではないかといえる。
参考文献
・藤部文昭(2007)「都市のヒートアイランド」 天気 54(1) , 9-12 社団法人日本気象学会
・杉本荘一・近藤純正(1994)「仙台市におけるヒートアイランドと各種地表面温度の日変化の観測」 天気 41(9), 541-544 社団法人日本気象学会
・水野雅士・鍋島美奈子・中尾正喜・西岡真稔(2009)「自動車を用いた移動観測による市街地気温分布調査 -セミバリオグラムとクリギング補間による気温水平分布の分析-」 日本建築学会環境系論文集 Vol. 74 No. 644 P 1179-1185
・村上雅則・木村富士男(2010)「可搬型簡易自作強制通風式気温計作成マニュアル」 筑波大学陸域環境研究センター報告 (11), 29-33, 2010
・若月泰孝(2016)「移動観測にサーミスタ温度計を用いる場合の温度補正について, 茨城大学若月研究室技術報告, 20161005.」
・日下博幸(2013)「学んでみると気候学はおもしろい」 ベレ出版
・日下博幸(2009)「冬季晴天日におけるつくば市のヒートアイランド:予備観測の結果」 日本ヒートアイランド学会論文集 Vol.4
・軽辺凌太(2016)「つくば市内の気温の空間分布と周辺環境Ⅳ」 第2回日本気象学会ジュニアセッション
・気象庁ホームページ http://www.jma.go.jp/jma/index.html
・国土交通省国土政策局「国土数値情報(土地利用細分メッシュデータ)」をもとに軽辺凌太が編集・加工 http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/index.html
謝辞
 本研究は、筑波大学GFESTのSSコースに採用され茨城大学理学部准教授の若月泰孝先生と筑波大学大学院生命環境科学研究科の猪狩浩介さんに多くのご指導をいただきました。この場を借りて、感謝申し上げます。