JpGU-AGU Joint Meeting 2017

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[JJ] ポスター発表

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[O-05] 高校生によるポスター発表

2017年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

13:45 〜 15:15

[O05-P29] 茨城県会瀬海岸でみられた海浜地形変動の要因について

*森泉 怜1、志関 弘平1、千葉 翔真1、丹羽 智也1、磯部 将義1、川﨑 剛1、細谷 隼世1 (1.茨城県立日立第一高等学校)

キーワード:海浜地形変動、沿岸流、有義波高

【はじめに】
近年,茨城県北部の沿岸地域で海岸侵食が起こっているとの報告がなされている(宇多ほか,2008)。私たちは本校に近い日立市会瀬海岸における現状に興味をもち,今回の調査対象地として選んだ。予備調査として,国土地理院ホームページ「地図・空中写真閲覧サービス」を利用し,1986年から2012年の海岸線の変化を調べた。その結果,海岸線が大幅に後退している様子が見られた。そこで,本格的に現地における測量調査を開始した。
【目的】
本研究の目的は,会瀬海岸における地形変動の状況把握と,その地形変動要因について考察することを目的とする。
【会瀬海岸の概要】
会瀬海岸は,日立駅の南約1㎞に位置し,背後に海蝕崖,北に海蝕台,南に会瀬漁港で囲まれた幅100m弱の太平洋に面した砂浜海岸である。海岸線は北東―南西方向に伸び、南東方向に開いている。海岸の砂を粒度分析した結果,主に中~粗粒砂であった。また,砂浜を深さ1mほど掘削し観察した結果,低角度の斜交葉理や平行葉理などの堆積構造が発達している様子が見られた。なお,2015年9月~2016年3月の間に海岸の南150m地点において,会瀬漁港の護岸嵩上げ工事が実施された。
【調査方法と結果】
調査方法は海岸50m×30m四方内を5.0mごとに測量し,等高線図,海浜地形断面図,平均標高を作成・算出した。測量調査は2015年7月~2016年12月までの間,約50日ごとに行い,合計12回実施した。その結果,会瀬海岸の平均標高は時期により増減しており,海浜地形変動が生じていることが確認できた。また,その地形変動は繰り返し発生していることが判明した。
【考察】
私たちは,この地形変動の要因を明らかにするために,次のような考察を行った。
測量結果をもとに作成した海浜地形断面図を解析した結果,後浜部分はほぼ変動せず,変動の場は主に前浜部分に集中していた。そこで,前浜部分を変動させる主な要因候補として,今回,私たちは会瀬海岸付近の沿岸流と有義波高の2点に焦点を当て,考察を試みた。
〇沿岸流
会瀬海岸沖約5㎞に位置する海洋ブイのデータ(国立研究開発法人水産研究・教育機構/東北区水産研究所)を利用し,過去2年間の沿岸流の流向割合を調べた。結果は南東(20%),南(20%),南西(14%)の3つが優勢であり,全体の54%を占めていた。私たちはこれら3つの沿岸流を「南向き系沿岸流」とした。この「南向き系沿岸流」の割合は平均標高の増減量とは反比例する形で変動を繰り返していた。この両者の間には負の相関関係がみられ,相関係数Rの値は-0.78であった(護岸工事期のデータを除く)。
〇有義波高
有義波高については,会瀬海岸の南約20㎞に位置する,常陸那珂港の波高データ(国土交通省港湾局/全国港湾波浪情報網)を利用した。この有義波高の高さは増減を繰り返しており,平均標高の増減量とは反比例する形で変動を繰り返していた。この両者の間にはやや弱い負の相関関係がみられ,相関係数Rの値は-0.46であった(護岸工事期のデータを除く)。
以上より,会瀬海岸の地形変動の要因には,沿岸流と有義波高のいずれも影響を与えている可能性が高い。特に沿岸流の方がより強く影響していると考えられる。地形変動との関係性をより明らかにするため,今後も継続して測量調査を実施していきたい。
【引用文献・参考文献】
宇多高明・三波俊郎・長山英樹・住谷廸夫・熊田貴之:「茨城県成沢・多賀・河原子海岸の侵食実態」海洋開発論文集,第24巻,P.1327-1332,2008