13:45 〜 15:15
[O05-P49] 分光観測による3彗星の成分変化
キーワード:彗星、コマ、分光観測、輝線
1.はじめに
一昨年度、我々の2学年上の先輩達が本校の彗星研究グループを立ち上げ、パンスターズ彗星(C/2012 K1)等の分光観測についての研究を行った。しかし、観測データ数が少なく、課題も残されていたため、この研究を引継ぎ、1つの彗星に着目してスペクトルの変化を追跡しようと考えた。だが、今年は我々の目的にかなう彗星の出現は無かったため、岡山県美星天文台の研究員や公募観測利用者が過去に取得したC/2012 K1、ラブジョイ彗星(C/2014 Q2)およびカタリナ彗星(C/2013 US10)の低分散分光観測データを利用することにした。
2.目的
我々の研究の目的は、上記の3彗星の低分散分光観測の結果を用い、近日点通過前後におけるスペクトル中の輝線の変化やコマでのガス放出速度の変化を調べることである。
3.方法
我々が行ったデータ解析の手順は、以下の通りである。
(1) 「マカリ」(国立天文台・(株)アストロアーツ)を用いて、岡山県美星天文台の口径101cm望遠鏡で得られた彗星のスペクトル画像の一次処理を行った。
(2) 「Be Spec」(川端哲也氏 作)を用いて、スペクトル図を作成した。
(3) スペクトル図中の主な輝線について、化学組成を特定した。また、CN輝線の全幅を読み取り、ドップラー効果の式より、コマにおけるガスの放出速度の最大値を求めた。
4.結果
表に、スペクトル図から読み取ったCN・C2・C3・NH2の各輝線の強弱とコマにおけるガスの放出速度を示す。
5.考察
(1) 結果をまとめると、CN輝線は比較的長い期間現れるが、C2輝線は近日点通過直前から明瞭になり、近日点通過直後に最も顕著になることが分かった。
(2) コマからのガスの放出速度は、概ね近日点付近で最大になることが分かった。
6.まとめ
今回は多くの彗星の分光データを処理できたため、先輩が残した課題の一つは解決できた。しかし、輝線の現れる順番の原理については、更に調査の必要があると感じている。
謝辞 本研究を行うにあたり、大阪教育大学の福江教授、松本准教授にご指導を頂きました。また、美星天文台の綾仁台長、前野研究員、公募観測者の宇野様、松下様には、観測データをご提供頂きました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
一昨年度、我々の2学年上の先輩達が本校の彗星研究グループを立ち上げ、パンスターズ彗星(C/2012 K1)等の分光観測についての研究を行った。しかし、観測データ数が少なく、課題も残されていたため、この研究を引継ぎ、1つの彗星に着目してスペクトルの変化を追跡しようと考えた。だが、今年は我々の目的にかなう彗星の出現は無かったため、岡山県美星天文台の研究員や公募観測利用者が過去に取得したC/2012 K1、ラブジョイ彗星(C/2014 Q2)およびカタリナ彗星(C/2013 US10)の低分散分光観測データを利用することにした。
2.目的
我々の研究の目的は、上記の3彗星の低分散分光観測の結果を用い、近日点通過前後におけるスペクトル中の輝線の変化やコマでのガス放出速度の変化を調べることである。
3.方法
我々が行ったデータ解析の手順は、以下の通りである。
(1) 「マカリ」(国立天文台・(株)アストロアーツ)を用いて、岡山県美星天文台の口径101cm望遠鏡で得られた彗星のスペクトル画像の一次処理を行った。
(2) 「Be Spec」(川端哲也氏 作)を用いて、スペクトル図を作成した。
(3) スペクトル図中の主な輝線について、化学組成を特定した。また、CN輝線の全幅を読み取り、ドップラー効果の式より、コマにおけるガスの放出速度の最大値を求めた。
4.結果
表に、スペクトル図から読み取ったCN・C2・C3・NH2の各輝線の強弱とコマにおけるガスの放出速度を示す。
5.考察
(1) 結果をまとめると、CN輝線は比較的長い期間現れるが、C2輝線は近日点通過直前から明瞭になり、近日点通過直後に最も顕著になることが分かった。
(2) コマからのガスの放出速度は、概ね近日点付近で最大になることが分かった。
6.まとめ
今回は多くの彗星の分光データを処理できたため、先輩が残した課題の一つは解決できた。しかし、輝線の現れる順番の原理については、更に調査の必要があると感じている。
謝辞 本研究を行うにあたり、大阪教育大学の福江教授、松本准教授にご指導を頂きました。また、美星天文台の綾仁台長、前野研究員、公募観測者の宇野様、松下様には、観測データをご提供頂きました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。