JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

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[O-06] [JJ] 日本のジオパーク-しくじりから見えてくるジオパークの理想像-

2017年5月20日(土) 15:30 〜 17:00 国際会議室 (国際会議場 2F)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、座長:市橋 弥生(佐渡市教育委員会)、座長:小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)、座長:松原 典孝(兵庫県立大学大学院)、座長:渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、座長:今井 ひろこ

16:30 〜 17:00

[O06-06] ジオパーク活動に必要な姿勢

★招待講演

*大野 希一1 (1.島原半島ジオパーク協議会事務局)

キーワード:島原半島ジオパーク、持続可能な発展、地域社会

ジオパーク活動の主たる目的は、地域社会の維持・発展と、その先にある地域遺産の保全である。地域社会が維持されれば、そのテリトリー内にいる人が価値ある遺産を保全するからである。地域社会を維持するためには安定した財政基盤が必要であり、それらを維持するために、観光活動を通じて活動資金を稼ぎ、地域の経済活動を活性化させる。テリトリー内にある“遺産”に対する価値づけは、研究者による継続的な地域研究によって維持され、またその価値を地域住民に普及・啓発し、その成果を利用するために、教育活動が行われる。したがって、ジオパークに認定されている地域では、学術研究、教育活動、観光活動が、それぞれ関連性と必然性をもって、計画的に実施されていることが求められる。これが地域における「ジオパーク活動」であり、その活動によって達成されるものが、地域社会の維持・発展と、それによってもたらされる、テリトリー内の地域遺産の保全である。
 住民、行政、研究者などの関係者がこのようなジオパーク活動に対して意義を見出し、ジオパークという大きな枠組みの中における各々の立ち位置が認識すれば、地域全体のジオパーク活動は相互に機能するであろう。しかし何もしなければ、関係者はそれぞれが掲げる目的達成のために、個別に活動を推進していくことになる。よって、ジオパーク活動を推進する地域は、ジオパーク活動の関係者の意識の方向性を、ある段階で「地域社会の持続可能な発展と、それによってもたらされる、テリトリー内の地域遺産の保全」に揃え続けていなければならない。ジオパーク活動の意義や重要性を、関係機関に理解してもらうためには、定期的な話し合いの場や連絡網などを構築して、関係者が実質的に情報を共有し、互いのジオパーク活動に対するモチベーションを維持する仕組みが必要不可欠である。既存のしがらみやテリトリー意識をなくし、地域全体が自分たちの次の世代に、地域社会や地域遺産をどうやって残していくかを考え、実行していく姿勢が求められる。
 ここに述べたことは特別なことではない。しかしこの姿勢がジオパーク活動に関わる関係者に理解されなければ、ジオパークという仕組みを用いて持続可能な地域社会を構築し、地域遺産の保全を実現することは難しいであろう。講演では、条件付き再認定となった島原半島ユネスコ世界ジオパークの現状を紹介する。