JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-06] [JJ] 日本のジオパーク-しくじりから見えてくるジオパークの理想像-

2017年5月20日(土) 10:45 〜 12:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)

[O06-P09] ジオパークエリアを超えて 
-磐梯山ジオパークを源とする「安積疎水」をたどるジオツアー―

*佐藤 公1 (1.磐梯山噴火記念館)

キーワード:ジオパークエリアを超えて、地域連携

磐梯山ジオパークは海に面していないため、域内の河川はすべて本ジオパークに属さない自治体を通って海にそそいでいる。磐梯山ジオパークのメインテーマに関連した地形的特徴は、磐梯山の岩なだれで形成された湖沼群が磐梯山の北側(裏磐梯湖沼群)と南側(猪苗代湖)に存在することであり、水資源の利用をテーマとしたジオツアーをしばしば開催してきた。例えば北側と南側の高低差により多くの水力発電所が存在することが、火山のめぐみのひとつであり、興味あるジオストーリーを作っている。
日本で4番目に大きな湖である猪苗代湖から流れ出る唯一の河川は日橋川であり、西側の日本海にそそいでいる。これに対して東側では、猪苗代湖の水を安積疎水として郡山盆地に供給している。
昨年、安積疎水が日本遺産の認定を受けた。そのため、地元の郡山市ではこの安積疎水を観光の目玉にしようと企画し、ツアーを組み始めた。しかし、郡山市の発想は猪苗代湖から水を引くことからのスタートで留まっている。
そこで、磐梯山ジオパークとしては、この安積疎水のもともとの水がめである猪苗代湖の形成からはじめることを郡山市に提案し、共同で活動することにした。
安積疎水をめぐるツアーを猪苗代町のリゾートスキー場から始める。それは、5万年前の磐梯火山の噴火による岩なだれが、この場所を下り南西側に堆積し、猪苗代湖を誕生させたことを知ることができる場所だからである。その後、猪苗代湖北西岸の、安積疎水供給のために猪苗代湖の水位を調整する役割をもった十六橋に移動し、その橋が1000万年以上前の溶岩で作られていることを紹介する。そこまでをジオパークのガイドが担当する。その後、郡山市の安積疎水のガイドが担当する。
こういったジオツアーを通し、ジオパーク域内と域外の人々が交流することで、安積疎水というテーマがより深みを持ったものに変わっていく。また、この活動が域外の人々に磐梯山のジオパークを伝えることにつながる効果が期待できる。
今後、こういった域外の人々との交流を通し、磐梯山ジオパークの理解を図っていくとともに、ジオパークの魅力を増す活動につなげていきたいと考えている。