09:54 〜 10:12
[PCG24-04] 金星大気重力波に誘発された弓状構造のALMA/Venus Climate Orbiter「あかつき」衛星連携観測ミッション
キーワード:アタカマ大型ミリ波・サブミリ波干渉計 (ALMA)、Venus Climate Orbiter 「あかつき」、金星、大気重力波、SPART望遠鏡、惑星大気
本講演では金星「あかつき」衛星と日欧米の国際望遠鏡であるアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)を用いた金星の同時連携観測について報告する。我々はSolar Planetary Atmosphere Research Telescope(SPART)望遠鏡により太陽系の地球型惑星の大気環境の監視観測を推進しており、短期スケール(数日~数週間)の一酸化炭素(CO)の変動を捉えてきた。その原因解明には、金星の大気化学とダイナミクスの間のリンクを紐解く必要がある。2015年12月、「あかつき」衛星(JAXA)のLIRカメラは、アフロデティ大陸で発生した重力波の影響と思われる弓状構造を捉えることに成功した。この現象を介して、大気ダイナミクスの変化に伴って乱されるCOやH2O、硫化物などの時空間変化の連動を捉えることができれば、金星の低層から中高層にかけての大気化学反応ネットワークに関する重要な知見が得られる。「あかつき」衛星の赤外域や紫外線のセンサーは雲頂から低層にかけての温度やCO、SO2などの存在量や分布、速度場の高解像度観測に強力な威力を発揮する。一方、ALMAのミリ・サブミリ波帯のヘテロダイン分光観測では、75 kmから110 kmの高度の微量分子の3D分布(高度方向と緯度経度方向など)を捉えることができる。
現時点で2016年11月20日と12月1日の2回に渡って、ALMAと「あかつき」衛星の連携観測が実施されている。同時に「あかつき」衛星もLIRカメラにより、近金点から次に重力波が発生すると思われるアフロデティ大陸近傍エリアの連続撮像に成功した。この観測期間のALMAはCycle-4のC40-4の配列となっており、50台の12m望遠鏡群と12台の7m望遠鏡群の干渉計システムと、4台の12m単一望遠鏡を用いることでUV空間をカバーし、空間解像度は300 GHz 帯(12CO,13CO,HDO,SO,SO2)において0.43秒角、200 GHz 帯(12CO,13CO)において0.63秒角となっている。高度方向は吸収スペクトルのVoigt line-shapeをモデルフィットすることで数km程度の分解を得ることができる。また、スペクトルのセンターのドップラーシフトから熱圏下部域の風速場の導出も可能となる。現在、ALMAの3回目の観測をまだ残しており、また上記観測に伴う大規模データのパイプライン処理に時間を要している関係で、まだデータが配信されていない状況にあるが、本講演では、これらの観測の取り組み・進捗について紹介する。
現時点で2016年11月20日と12月1日の2回に渡って、ALMAと「あかつき」衛星の連携観測が実施されている。同時に「あかつき」衛星もLIRカメラにより、近金点から次に重力波が発生すると思われるアフロデティ大陸近傍エリアの連続撮像に成功した。この観測期間のALMAはCycle-4のC40-4の配列となっており、50台の12m望遠鏡群と12台の7m望遠鏡群の干渉計システムと、4台の12m単一望遠鏡を用いることでUV空間をカバーし、空間解像度は300 GHz 帯(12CO,13CO,HDO,SO,SO2)において0.43秒角、200 GHz 帯(12CO,13CO)において0.63秒角となっている。高度方向は吸収スペクトルのVoigt line-shapeをモデルフィットすることで数km程度の分解を得ることができる。また、スペクトルのセンターのドップラーシフトから熱圏下部域の風速場の導出も可能となる。現在、ALMAの3回目の観測をまだ残しており、また上記観測に伴う大規模データのパイプライン処理に時間を要している関係で、まだデータが配信されていない状況にあるが、本講演では、これらの観測の取り組み・進捗について紹介する。