JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG24] [EJ] 惑星大気圏・電磁圏

2017年5月21日(日) 10:45 〜 12:15 102 (国際会議場 1F)

コンビーナ:関 華奈子(東京大学大学院理学系研究科)、高橋 芳幸(神戸大学大学院理学研究科)、中川 広務(東北大学 大学院理学研究科 地球物理学専攻太陽惑星空間物理学講座 惑星大気物理学分野)、深沢 圭一郎(京都大学学術情報メディアセンター)、座長:高橋 芳幸(神戸大学大学院理学研究科)、座長:中川 広務(東北大学 大学院理学研究科 地球物理学専攻太陽惑星空間物理学講座 惑星大気物理学分野)

10:45 〜 11:03

[PCG24-06] 惑星大気大循環モデルのための放射伝達モデルの開発に向けて

*高橋 芳幸1大西 将徳3はしもと じょーじ3倉本 圭2石渡 正樹2高橋 康人2林 祥介1 (1.神戸大学大学院理学研究科、2.北海道大学大学院理学院、3.岡山大学大学院自然科学研究科)

キーワード:惑星大気、放射伝達、地球

1990 年代後半以来, 多数の系外惑星が発見されている. 系外惑星研究における興味深い科学的課題の一つは, 系外惑星において実現される表層環境や循環構造である. 発見されている系外惑星は様々な軌道要素を持っており, また, その大気の組成や質量は太陽系惑星とは大きく異なる可能性があるため, 系外惑星においては非常に幅広い様々な表層環境や循環構造が実現しているだろう.
そのような系外惑星の表層環境と循環構造を調べる上で最も重要かつ難しい点はその大気の放射伝達計算である. そもそも, 系外惑星に限らず, 放射場を正確に求めるための困難の一つは, 放射伝達方程式の波数に対する積分を正確に評価することである. 地球の気候研究のためには, 計算量を削減するために, 多くの場合に相関 k 分布法が用いられているが, 系外惑星大気の研究においてはそれを地球とは異なる大気組成・質量に対して実装できなければならない.
我々は, 系外惑星の表層環境と循環構造の多様性を明らかにすることを目指して, 様々な大気組成・質量を持つ惑星大気の大気循環計算に使用できる放射モデルの構築を目指している. 本研究では, それに向けた最初の一歩として, 地球大気の長波放射モデルの構築を目指す.
大気循環計算に用いる放射モデルの構築では, まず, ラインバイラインの放射伝達モデルを構築する. 次に, そのラインバイラインモデルを参照解として, 相関 k 分布法に基づくモデルを構築する. ラインバイラインの放射伝達モデルでは, Humlicek (1982) の計算方法による Voigt 線形と HITRAN2012 (Rothman et al., 2013) の吸収線データを用いる. 連続吸収は, MT_CKD モデル (Mlawer et al., 2012) を用いて考慮する. このラインバイラインモデルは, 長波放射モデルの相互比較実験
(Ellingson et al., 1991) に基づいて検証することにする. 相関 k 分布法を用いた放射モデルの構築においては, ここでは,
地球大気の放射伝達モデルとして実績のある RRTM (Mlawer et al., 2012) と同じバンド設定および k 分布のビンの設定を用いることにする. 構築した相関 k 分布放射モデルは, 上に述べたラインバイラインモデルと比べることで検証する. 講演では, 本研究で構築したラインバイラインモデルと相関 k 分布放射モデルの詳細, および, 両モデルの計算結果を示す予定である.