[PCG24-P10] 新規開発ファイバ面分光ユニットを用いた金星雲観測計画
キーワード:ファイバ面分光、紫外観測、金星大気
金星は全球が分厚い硫酸の雲におおわれており、可視光で見る金星はピンポン玉のように特徴に乏しい。一方、金星の上層雲には太陽放射のうち200nmから500nmの波長を吸収する物質が含まれており、高速の風が吹き荒れているさまを見せる雲の模様を作り出す。200nm から320nm はSO2による吸収で良く説明できるが、320nm より長い波長での吸収を担う物質はいまだ同定されていない。これまで実施された観測は主に365nmを中心波長とする単バンドしか使っていなかったが、異なる波長の空間構造の違いを比較することでこの非同定吸収物質の性質や数を明らかにできる可能性がある。2015年12月に金星周回軌道に投入されたあかつきに搭載された紫外カメラ(UVI)は、非同定中心波長283nm と 365nm のバンド分光による連続観測を続けており、これら波長の違いによる空間構造の違いと相似があることが判明しつつある。UVIのバンド幅は15nm 程度であり、UVIの二波長の間でどのような変化をしているのか知ることはできない。本研究は、この波長間を埋める波長・空間構造を地上より観測することで、365nm付近で見える非同定吸収といわれるものが、いったい何を観測していることになるのかの考察を可能にすることを目的とする。
我々はファイバアレイを用いた分光イメージャを開発してきた。分光イメージングは同時に複数の波長で二次元の画像を取得でき、金星の非同定吸収物質を観測するのに適している。百数十μm程度の細いファイバを数百本用いたファイバアレイの新しい製造方法を考案し、実用化に向けて改良を加えてきた。これをもちいて地上から金星の雲を面分光する光学系を検討している。
本発表では、新しく考案した、ファイバアレイ内の個々のファイバ素線の入射、出射の対応付けを決める新しい方法の紹介のほか、開発中の光学系の性能と、2017年6月頃の金星西方最大離隔をターゲットとしたハレアカラ観測所の望遠鏡をもちいた観測計画を報告する。
我々はファイバアレイを用いた分光イメージャを開発してきた。分光イメージングは同時に複数の波長で二次元の画像を取得でき、金星の非同定吸収物質を観測するのに適している。百数十μm程度の細いファイバを数百本用いたファイバアレイの新しい製造方法を考案し、実用化に向けて改良を加えてきた。これをもちいて地上から金星の雲を面分光する光学系を検討している。
本発表では、新しく考案した、ファイバアレイ内の個々のファイバ素線の入射、出射の対応付けを決める新しい方法の紹介のほか、開発中の光学系の性能と、2017年6月頃の金星西方最大離隔をターゲットとしたハレアカラ観測所の望遠鏡をもちいた観測計画を報告する。