[PEM14-P34] Coordinated EISCAT and optical network imaging observations of the omega-band type pulsating aurora and electron density enhancement in the D-region ionosphere
キーワード:Omega-band type aurora, EISCAT radar
今回我々は、地上多点光学観測ならびに EISCAT レーダーにより2016年1月6日と1月13日に観測されたオメガバンド脈動オーロラに伴う低高度電離現象について報告する。
Omega-bandオーロラは朝方高緯度電離圏にしばしば現れる大規模(数十-数百 km)な波状構造を持つ特徴的なオーロラであり、その中にパッチ状脈動オーロラを有する複雑な構造をしている。脈動オーロラについては、過去の地上観測から 10 keV 以上の比較的高エネルギー降下電子により生成され、100 km 以下の低高度で発光する場合があることが指摘されている。しかしながら、Omega-bandオーロラの発生機構や降下電子のエネルギー特性は依然として観測例が乏しく、ほとんど理解されていない。
本研究では、Omega-bandオーロラの詳細な変動と降下電子エネルギー分布ならびに電離圏応答性を明らかにするために、EISCATレーダーと地上多点光学同時観測データを解析した。
2016年1月6日01:00-02:00 UTと2016年1月13日01:00-02:00 UTにおいて MIRACLE全天イメージャーと Tromsø の EISCAT UHF レーダー同時観測から、Tromsø上空を通過したOmega-bandオーロラの高分解能(空間分解能~10 km以下、時間分解能~10秒以下)データを取得した。このデータに基づき、三角測量を用い、Omega-bandオーロラの427.8 nm及び557.7 nm の発光高度の時間変動を明らかにした。その結果、Omega-bandオーロラの427.8nm発光高度は92-100 kmと低高度であったことが分かった。また、CARD法を用いてOmega-bandオーロラ発生時の降下電子のエネルギー分布を求めた。この結果、2016年1月6日のOmega-bandオーロラは1-100 keVの幅広いエネルギー帯の降下電子によって生成されたことが分かった。一方、2016年1月13日のOmega-bandオーロラの降下電子エネルギー分布は脈動オーロラの降下電子エネルギー分布と同様の15-50 k eV帯であった。このことからOmega-bandオーロラを生成する降下電子エネルギーの特性には複数のタイプあることがわかった。この事実はOmega-bandオーロラ内部の脈動オーロラパッチの生成メカニズムならびに関連磁気圏現象が複数(少なくとも2種類)あることを示唆する。このことからOmega-band内の脈動オーロラを発生させる磁気圏側での波動粒子相互作用には、磁気赤道面近傍のみで共鳴が起きる場合と、磁気赤道面から高緯度側まで共鳴が起こり100keV以上の電子も降り込んでくる場合が考えられる。
また、本研究で開発された発光高度推定手法を定量的に評価した。ディスクリートオーロラの発光高度推定結果や、427.8nmと557.7nmの発光高度差は過去の研究と整合的だった。さらに、三角測量を行う2点間の組み合わせについて、オーロラ空間構造と観測点の位置関係を調べ、3地点観測のうち2地点では高度推定誤差が大きい場合でも他の組み合わせでは比較的正確な高度推定が可能であることが分かった。加えて、高度と三角測量による発光高度の関係を調べた結果、両者には正の相関があることを示した。
Omega-bandオーロラは朝方高緯度電離圏にしばしば現れる大規模(数十-数百 km)な波状構造を持つ特徴的なオーロラであり、その中にパッチ状脈動オーロラを有する複雑な構造をしている。脈動オーロラについては、過去の地上観測から 10 keV 以上の比較的高エネルギー降下電子により生成され、100 km 以下の低高度で発光する場合があることが指摘されている。しかしながら、Omega-bandオーロラの発生機構や降下電子のエネルギー特性は依然として観測例が乏しく、ほとんど理解されていない。
本研究では、Omega-bandオーロラの詳細な変動と降下電子エネルギー分布ならびに電離圏応答性を明らかにするために、EISCATレーダーと地上多点光学同時観測データを解析した。
2016年1月6日01:00-02:00 UTと2016年1月13日01:00-02:00 UTにおいて MIRACLE全天イメージャーと Tromsø の EISCAT UHF レーダー同時観測から、Tromsø上空を通過したOmega-bandオーロラの高分解能(空間分解能~10 km以下、時間分解能~10秒以下)データを取得した。このデータに基づき、三角測量を用い、Omega-bandオーロラの427.8 nm及び557.7 nm の発光高度の時間変動を明らかにした。その結果、Omega-bandオーロラの427.8nm発光高度は92-100 kmと低高度であったことが分かった。また、CARD法を用いてOmega-bandオーロラ発生時の降下電子のエネルギー分布を求めた。この結果、2016年1月6日のOmega-bandオーロラは1-100 keVの幅広いエネルギー帯の降下電子によって生成されたことが分かった。一方、2016年1月13日のOmega-bandオーロラの降下電子エネルギー分布は脈動オーロラの降下電子エネルギー分布と同様の15-50 k eV帯であった。このことからOmega-bandオーロラを生成する降下電子エネルギーの特性には複数のタイプあることがわかった。この事実はOmega-bandオーロラ内部の脈動オーロラパッチの生成メカニズムならびに関連磁気圏現象が複数(少なくとも2種類)あることを示唆する。このことからOmega-band内の脈動オーロラを発生させる磁気圏側での波動粒子相互作用には、磁気赤道面近傍のみで共鳴が起きる場合と、磁気赤道面から高緯度側まで共鳴が起こり100keV以上の電子も降り込んでくる場合が考えられる。
また、本研究で開発された発光高度推定手法を定量的に評価した。ディスクリートオーロラの発光高度推定結果や、427.8nmと557.7nmの発光高度差は過去の研究と整合的だった。さらに、三角測量を行う2点間の組み合わせについて、オーロラ空間構造と観測点の位置関係を調べ、3地点観測のうち2地点では高度推定誤差が大きい場合でも他の組み合わせでは比較的正確な高度推定が可能であることが分かった。加えて、高度と三角測量による発光高度の関係を調べた結果、両者には正の相関があることを示した。