JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM22] [JJ] 大気圏・電離圏

2017年5月24日(水) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:大塚 雄一(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、津川 卓也(情報通信研究機構)、川村 誠治(国立研究開発法人 情報通信研究機構)

[PEM22-P06] 1周波GPS信号計測による電離層TEC観測の拡大

*後藤 由貴1 Win Zaw Hein1松井 睦1笠原 禎也1 (1.金沢大学大学院自然科学研究科)

キーワード:1周波GPS信号、電離層TEC、バイアス推定

衛星測位システム(GNSS)の信号の高密度な観測網を利用した電離層TEC (total electron content) の測定が国内外で積極的に進められている。一方、こうした観測網は中緯度地域に多く、プラズマの変動が大きい低緯度地域において、今後どのように観測網を展開するかが課題となっている。本研究では、通常のTEC測定に利用される2周波受信機ではなく、1周波受信機を連携させることによってTEC分布を測定する手法を確立し、低コストで観測網を展開することを目的としている。

1周波GPS受信機からコード擬似距離と搬送波疑似距離が観測量として得られる。これらの観測量において、電離層遅延の影響は正負反転するため、差分をとることでバイアス誤差を含む電離層遅延の値が得られる。バイアスは、搬送波疑似距離の位相測定における整数値アンビギュイティに拠るものである。このバイアスの求解のために、電離層TECの空間分布に多項式モデルを仮定し、多項式の係数と衛星毎のバイアス値をパラメータとして、複数受信機の観測値に対して最小二乗法を適用する。求解の際、衛星軌道および衛星のクロック誤差をInternational GNSS serviceが提供する精密軌道暦から算出し、対流圏遅延はHopfieldモデルにより除去している。本手法をGEONETのデータに適用して精度検証を行ったところ、2周波の信号から算出したTECと比較して、コード疑似距離の測定値のばらつきに相当する数TECUの精度でバイアス値の求解が可能であることが分かった。

現在、Rawデータを出力できる複数の1周波GPS受信機を用いて、受信機からサーバにデータを集約しTEC推定を行う観測ソフトウェアの整備を進めている。今後、低緯度地域へ展開することを予定している。