13:45 〜 14:00
[PPS02-13] 鉄質天体のクレーター形状分布からの衝突環境の検出について
キーワード:iron body, impact, crater
鉄隕石の供給源である鉄質天体は、地球型惑星領域で早期に形成された分化天体のコアの名残であると考えられる(Bottke et al., 2006)。一方、鉄質天体の候補とされる16PhycheをはじめとするM型小惑星の多くは小惑星帯に存在する。地球型惑星領域と小惑星帯では、天体表面温度や衝突速度が異なる。それゆえ、温度や衝突速度がクレーター形状に影響をするのであれば、鉄質天体が経てきた軌道進化をクレーター形状分布から制約できる可能性がある。
我々は、金属弾丸と鉄隕石模擬物質としての炭素鋼SS400標的の衝突実験及び衝突シミュレーションを行ってきたが(小川他, 2016, JpGU)、標的にGibeon鉄隕石を(小川他, 2016, JSPS fall meeting)、弾丸に岩石を用いた実験とそのシミュレーションを追加した。実験は、地球型惑星領域相当の室温と小惑星帯相当の150 Kの標的に対し、衝突速度0.8―7km/sで行った。7 km/s以上の高速度衝突については衝撃物理コードであるiSALE-2Dを用いシミュレーションを行った。Gibeon鉄隕石の状態方程式は鉄のANEOS(Thompson, 1990)、強度モデルにはJohnson-Cook モデル(Johnson and Cook, 1983)を用いた。Johnson-Cook モデルのパラメータについてはGibeon鉄隕石と同じオクタヘドライト隕石であるHenbury鉄隕石の応力-歪曲線(Furnish et al., 1994)から推定した。その結果、数値シミュレーションは実験結果を再現することを確かめた。
Gibeon鉄隕石とSS400は冷却することで強度は150-200 MPaほど増加する(Gordon, 1970 ; Furnish et al., 1994; Pennet et al., 1966; Sakino, 2015)。クレーター深さと直径は、冷却による強度増加や衝突速度の低下によりともに小さくなった。しかし、減少傾向は直径よりも深さで顕著に現れる。以上により、鉄質天体表面に形成されるクレーターの深さ直径比の頻度分布のピークは、地球型惑星領域よりも小惑星帯では小さくなると推定された。
謝辞:iSALEの開発者であるG. Collins, K. Wennemann, J. Melosh, B. Ivanov, D. Elbeshausenに感謝致します。
我々は、金属弾丸と鉄隕石模擬物質としての炭素鋼SS400標的の衝突実験及び衝突シミュレーションを行ってきたが(小川他, 2016, JpGU)、標的にGibeon鉄隕石を(小川他, 2016, JSPS fall meeting)、弾丸に岩石を用いた実験とそのシミュレーションを追加した。実験は、地球型惑星領域相当の室温と小惑星帯相当の150 Kの標的に対し、衝突速度0.8―7km/sで行った。7 km/s以上の高速度衝突については衝撃物理コードであるiSALE-2Dを用いシミュレーションを行った。Gibeon鉄隕石の状態方程式は鉄のANEOS(Thompson, 1990)、強度モデルにはJohnson-Cook モデル(Johnson and Cook, 1983)を用いた。Johnson-Cook モデルのパラメータについてはGibeon鉄隕石と同じオクタヘドライト隕石であるHenbury鉄隕石の応力-歪曲線(Furnish et al., 1994)から推定した。その結果、数値シミュレーションは実験結果を再現することを確かめた。
Gibeon鉄隕石とSS400は冷却することで強度は150-200 MPaほど増加する(Gordon, 1970 ; Furnish et al., 1994; Pennet et al., 1966; Sakino, 2015)。クレーター深さと直径は、冷却による強度増加や衝突速度の低下によりともに小さくなった。しかし、減少傾向は直径よりも深さで顕著に現れる。以上により、鉄質天体表面に形成されるクレーターの深さ直径比の頻度分布のピークは、地球型惑星領域よりも小惑星帯では小さくなると推定された。
謝辞:iSALEの開発者であるG. Collins, K. Wennemann, J. Melosh, B. Ivanov, D. Elbeshausenに感謝致します。