16:45 〜 17:00
[PPS03-05] 石英砂への高速度クレーター形成実験:クレーターサイズとエジェクタ速度分布スケール則構築
キーワード:Impact crater, Scaling law, Regolith layer
衝突クレーター形成過程は、太陽系形成、進化過程において普遍的な現象である。天体衝突による表層進化の研究を行う上で、実験室規模の実験結果を実際の天体規模のクレーター形成過程に適応するためのスケール則が必要となる。我々はこれまで、低速度域(100~200m/s)におけるエジェクタ速度分布の弾丸密度依存性について調べてきた(Tsujido et al., 2015)。一方、実際起こる天体衝突は数km/sを超える高速度衝突であることから、エジェクタ速度分布についての衝突速度依存性を明らかにすることが重要となる。そこで、宇宙科学研究所の縦型二段式軽ガス銃を用いて砂標的へ高速度衝突実験を行った。弾丸に直径4.7mmのポリカーボネート、直径2mmの密度の異なる7種類の球(ガラス、アルミ、チタン、ジルコニア、SUS、銅、タングステンカーバイト)を用いて、それらを1.5~6.9km/sの速度で衝突させた。クレーター形成過程をハイスピードカメラで撮影し、その動画を用いてエジェクタ速度分布を計測した。実験結果は、クレーターサイズのスケール則(Matsue et al., in prep)と合わせ、クレーター形成過程について考察した。
異なる実験条件で得られたエジェクタ速度分布は、Housen, 1983で提唱されているπスケール則の式: v0/√gR=k2(x0/R)-1/μ, を用いて整理することができた。v0, g, R , x0はそれぞれエジェクタ放出速度、重力加速度、クレーター半径、放出位置を表し、k2及びμは定数である。k2は衝突条件によらずほぼ一定の値0.7±0.2となり、標的物質によって決まる値であると考えられる。μは弾丸密度に依存し、弾丸密度とともに0.35から0.5に大きくなることがわかった。一方、クレーターサイズに関するスケール則から求めたμの値は0.42±0.03となっており、エジェクタ速度分布で求めたμに近い値になることがわかった。このことから、今回の衝突条件では、クレーターサイズスケール則、エジェクタ速度分布スケール則で用いているμは同じ値を用いて問題ないことが確認できた。
高速度域の結果と、低速度域の結果(Tsujido et al., 2015)を比較した所、θave、k2は速度依存性が見られなかったが、μ、エジェクタカーテン角度は低速度域の方が大きくなることがわかった。これは拡張Zモデル(Croft, 1980, Tsujido et al., 2015)により、点源深さを考慮したZ値を用いることで説明可能であることがわかった。低速度域では点源深さが、高速度域よりも~2倍ほど深くなっており、弾丸の潜り込みの影響が大きい。一方、高速度では、衝突時に弾丸が破壊するため、点源は表面近くとなっている。
異なる実験条件で得られたエジェクタ速度分布は、Housen, 1983で提唱されているπスケール則の式: v0/√gR=k2(x0/R)-1/μ, を用いて整理することができた。v0, g, R , x0はそれぞれエジェクタ放出速度、重力加速度、クレーター半径、放出位置を表し、k2及びμは定数である。k2は衝突条件によらずほぼ一定の値0.7±0.2となり、標的物質によって決まる値であると考えられる。μは弾丸密度に依存し、弾丸密度とともに0.35から0.5に大きくなることがわかった。一方、クレーターサイズに関するスケール則から求めたμの値は0.42±0.03となっており、エジェクタ速度分布で求めたμに近い値になることがわかった。このことから、今回の衝突条件では、クレーターサイズスケール則、エジェクタ速度分布スケール則で用いているμは同じ値を用いて問題ないことが確認できた。
高速度域の結果と、低速度域の結果(Tsujido et al., 2015)を比較した所、θave、k2は速度依存性が見られなかったが、μ、エジェクタカーテン角度は低速度域の方が大きくなることがわかった。これは拡張Zモデル(Croft, 1980, Tsujido et al., 2015)により、点源深さを考慮したZ値を用いることで説明可能であることがわかった。低速度域では点源深さが、高速度域よりも~2倍ほど深くなっており、弾丸の潜り込みの影響が大きい。一方、高速度では、衝突時に弾丸が破壊するため、点源は表面近くとなっている。