13:45 〜 14:05
[PPS06-11] 高解像度金星大気シミュレーションで再現された惑星規模のストリーク構造
★招待講演
キーワード:金星大気シミュレーション、IR2、ストリーク構造、低安定度層
金星探査機あかつきの IR2 カメラは、金星の夜面を撮像することで、雲層下部の様々な特徴を明らかにしている。その中でも顕著な特徴の1つが、南北両半球で高緯度から低緯度にかけて延びる、惑星規模の明るいストリーク構造である。IR2 の夜面画像が捉えているのは地表付近の大気から放射される赤外線であり、それは雲によって遮られるため、画像の明るい領域は雲の薄い領域を表している。
我々は簡易な大気大循環モデルを用いて、金星大気の高解像度シミュレーションを実施してきた。モデルは AFES (Atmospheric general circulation model For the Earth Simulator) を金星大気に対応させたものである。水平解像度は T159 (約0.75° x 0.75° 格子) で、鉛直解像度は約 1 kmで大気上端は高度 120 km である。モデル内の大気は乾燥しており、日変化を含む太陽加熱と水平一様なニュートン冷却で放射過程を簡単化している。ニュートン冷却の基準温度場は金星大気の静的安定度を模しており、近年の電波掩蔽観測で示唆されている低安定度層 (0.1 K/km) が高度 55 km から 60 km に導入されている。我々はこれまでに、低解像度版の結果も含め、計算された金星大気中の、波動 (Sugimoto et al. 2014ab)、極渦 (Ando et al. 2016)、そして運動エネルギースペクトル (Kashimura et al. 2014) を解析してきた。
本研究で我々は、金星 AFES で計算された大気の低安定度層上空の鉛直流速分布が、IR2 夜面で観測された惑星規模のストリーク構造に、類似していることを確認した。強い下降流が巨大なストリーク状に分布しており、これは観測と整合的である。なぜなら、下降流によって雲量が減り、雲の薄い領域を生み出しうるからである。極上空から見ると、モデル内のストリーク構造は、極渦から低緯度にかけて延びる螺旋を成している。このような螺旋構造は、Venus Express の VIRTIS が捉えた螺旋構造に対応している可能性がある。また、南北両半球のストリーク構造はおよそ同じ経度に位置しており、南北で同期している。
我々は「低安定度層」の安定度を上げた数値実験も実施した。その結果、安定度を 2.0 K/km にすると、ストリーク構造が現れなくなった。これは、低安定度層が惑星規模ストリーク構造の形成に重要であることを示している。また、我々の簡易な大気大循環モデルでも金星大気の雲パターンに類似した構造を再現できたということは、雲パターンの形成には大気循環が支配的であることを示唆している。
我々は簡易な大気大循環モデルを用いて、金星大気の高解像度シミュレーションを実施してきた。モデルは AFES (Atmospheric general circulation model For the Earth Simulator) を金星大気に対応させたものである。水平解像度は T159 (約0.75° x 0.75° 格子) で、鉛直解像度は約 1 kmで大気上端は高度 120 km である。モデル内の大気は乾燥しており、日変化を含む太陽加熱と水平一様なニュートン冷却で放射過程を簡単化している。ニュートン冷却の基準温度場は金星大気の静的安定度を模しており、近年の電波掩蔽観測で示唆されている低安定度層 (0.1 K/km) が高度 55 km から 60 km に導入されている。我々はこれまでに、低解像度版の結果も含め、計算された金星大気中の、波動 (Sugimoto et al. 2014ab)、極渦 (Ando et al. 2016)、そして運動エネルギースペクトル (Kashimura et al. 2014) を解析してきた。
本研究で我々は、金星 AFES で計算された大気の低安定度層上空の鉛直流速分布が、IR2 夜面で観測された惑星規模のストリーク構造に、類似していることを確認した。強い下降流が巨大なストリーク状に分布しており、これは観測と整合的である。なぜなら、下降流によって雲量が減り、雲の薄い領域を生み出しうるからである。極上空から見ると、モデル内のストリーク構造は、極渦から低緯度にかけて延びる螺旋を成している。このような螺旋構造は、Venus Express の VIRTIS が捉えた螺旋構造に対応している可能性がある。また、南北両半球のストリーク構造はおよそ同じ経度に位置しており、南北で同期している。
我々は「低安定度層」の安定度を上げた数値実験も実施した。その結果、安定度を 2.0 K/km にすると、ストリーク構造が現れなくなった。これは、低安定度層が惑星規模ストリーク構造の形成に重要であることを示している。また、我々の簡易な大気大循環モデルでも金星大気の雲パターンに類似した構造を再現できたということは、雲パターンの形成には大気循環が支配的であることを示唆している。