11:45 〜 12:00
[PPS07-04] ハイパースペクトルリモートセンシングによる月でのD型スペクトル探し
キーワード:リモートセンシング、ハイパースペクトル、月、火星、小惑星、かぐや/セレーネ
小惑星の中でアルベドが暗く、可視・近赤外スペクトルが赤く、特徴的な鉱物吸収を持たないものとして、D型小惑星が挙げられ、一般に有機物を含む岩石から成ると考えられている。火星の衛星であるフォボスとデイモスはD型スペクトルを示すことから、その成因としてD型小惑星捕獲説があるが、赤道面内円軌道化が困難であることなど問題が多い。一方、これら衛星の成因として火星への巨大衝突で生じた周火星破片円盤中で集積してできたとの説もあり、強い変成や宇宙風化を受けた岩石がD型スペクトルを示している可能性が指摘されている。また、フォボス表面には相対的に青い領域と赤い領域が混在することが知られているが、その物質的違いもわかっていない。さらに、月の高地領域で宇宙風化を受けたと考えられる斜長岩の露頭の示すスペクトルは、相対的に暗く、赤いスペクトルを示し、また特徴的な鉱物の吸収バンドを持たないということが、最近のリモートセンシング研究により明らかにされている。つまり、そもそもD型スペクトルの持つ天体が、どのような物質からできているのかについては、まだ良くわからないというのが現状であり、さらなる研究が必要とされている。
このような観点から、我々は豊富なスペクトルデータが蓄積されている月に着目し、そもそも月面上にD型に類似したスペクトルを示す領域があるのか、あるとすれば、それはどのように分布し、どのような特徴を示すのかについて、かぐや搭載の連続分光計であるスペクトルプロファイラ(SP)のデータを使って調査を進めている。本発表では、全SPデータを使ったデータマイニング解析により、月面上の暗い物質の分布とその特徴について議論を行う。
このような観点から、我々は豊富なスペクトルデータが蓄積されている月に着目し、そもそも月面上にD型に類似したスペクトルを示す領域があるのか、あるとすれば、それはどのように分布し、どのような特徴を示すのかについて、かぐや搭載の連続分光計であるスペクトルプロファイラ(SP)のデータを使って調査を進めている。本発表では、全SPデータを使ったデータマイニング解析により、月面上の暗い物質の分布とその特徴について議論を行う。