JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS07] [JJ] 惑星科学

2017年5月24日(水) 10:45 〜 12:15 A04 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:鎌田 俊一(北海道大学 創成研究機構)、岡本 尚也(千葉工業大学惑星探査研究センター)、座長:鎌田 俊一(北海道大学創成研究機構)、座長:塩谷 圭吾(宇宙科学研究所)

12:00 〜 12:15

[PPS07-05] 月の断層活動終了年代の推定方法の提案:一次元クレーター年代学の開発と適用例

*嵩 由芙子1山路 敦1佐藤 活志1 (1.京都大学理学研究科)

キーワード:月、テクトニクス、形成年代

月のテクトニクス史の解明は、そのテクトニクスの原因と考えられているマスコン・全球冷却・軌道進化を解明する上でも重要であると言える。テクトニックな構造(リッジ、リルやLobate scarp)の形成開始年代は、構造形成に伴って変形した溶岩体の堆積年代をクレーター年代学で見積もり、制約することが行われきた(例えばLuchitta and Watkins, 1978 ; Daket et al., 2016)。また、形成終了年代は、変形したクレーターの年代による制約が行われてきた (例えばWatters et al., 2010)。クレーターの形成年代は、地形の風化度観察による定性的な方法が用いられてきた。そこで本研究では、より定量的に形成終了年代を見積もるための手法の提案・開発を行い、雨の海北西部に位置するリッジへ適用した。

本研究では、断層上に分布する非変形クレーターの線密度から、断層活動終了年代を見積もる方法を提案する。この新しく提案する方法を一次元クレーター年代学と呼ぶことにする。断層上には、断層で変形したクレーターと変形していないクレーターが混在している。変形したクレーターは、断層活動終了前に形成されたクレーターであり、断層上にあるにも関わらず変形していないクレーターは、断層活動終了後に形成されたクレーターである。つまり、月面のクレーター生成頻度が既知であるならば、断層上の非変形クレーターの線密度から断層活動終了後の経過年数を見積もることができる。

数値実験により模擬的な月面を再現し、一次元クレーター年代学で重要な二つの関係式、クレーター線密度と経過年数の関係(One-dimensional chronology function)とクレーターサイズと生成頻度の関係(One-dimensional production function)を推定した。また、提案した一次元クレーター年代学を雨の海北西部に位置する南北走向のリッジへ適用したところ、そのリッジの形成活動終了年代は約0.2 Gaであることがわかった。