JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS07] [JJ] 惑星科学

2017年5月24日(水) 13:45 〜 15:15 A04 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:鎌田 俊一(北海道大学 創成研究機構)、岡本 尚也(千葉工業大学惑星探査研究センター)、座長:瀧 哲朗(自然科学研究機構国立天文台)、座長:岡本 尚也(千葉工大惑星探査研究センター)

13:45 〜 14:00

[PPS07-06] 焼結の効果を入れたダストアグリゲイトの3次元衝突シミュレーション

*長尾 整道1奥住 聡1城野 信一2田中 秀和3 (1.東京工業大学、2.名古屋大学、3.東北大学)

キーワード:焼結、ダストアグリゲイト、シミュレーション

ダストアグリゲイトは、粒子の衝突合体によって作られる粒子の集合体であり、微惑星の材料になる。ダストアグリゲイトが形成されるには、アグリゲイト同士がぶつかっても壊れないことが必要であり、破壊が起こる衝突速度についていくつかの3 次元衝突シミュレーションが行われてきた。しかし、これまでの3 次元衝突シミュレーションでは焼結の効果は考慮されていなかった。焼結とは、融点より少し低い温度で物質を温めることによりその物質の表面分子が移動する現象のことである。焼結が進むと、その物質は硬化する一方、塑性は失われて脆くなる。アグリゲイトの焼結を考慮した場合、粒子同士の接触面が太くなり、アグリゲイト同士をぶつけた時の挙動も変わってくる。現在、2 次元での焼結の効果を入れたアグリゲイト衝突シミュレーションはすでに行われている。その研究結果は、焼結がおこるとアグリゲイトは壊れやすくなることを示している。

 本研究では、焼結の効果を入れた3 次元衝突シミュレーションを行った。その目的は、焼結がダストアグリゲイトの衝突に与える影響に関して、2Dと3Dの比較を行うことである。

 まず、先行研究ですでに行われた焼結の効果を入れた2 次元衝突シミュレーションをもとに、3 次元に適用できるモデルをたてた。ここで、2 次元シミュレーションでは考慮されない、接触している2 粒子がねじれる際にかかる力を導入した。シミュレーションでは、破壊が起こる速度について調べた。また衝突の結果接触点の数がどのように変化するかも見た。

 3 次元のシミュレーションの結果、焼結の進み具合により異なる、破壊が起きる衝突速度が得られた。焼結が進んだアグリゲイトの破壊が起きる速度は、焼結が起こっていないアグリゲイトのものと比べ、低くなった。また、3次元シミュレーションの結果は、2次元シミュレーションと比べて定性的な傾向は似ているが、跳ね返りについての違いなども見られた。

 本研究によって、3次元においても焼結がダストアグリゲイトの衝突に影響を与えることが示された。つまり、2次元での結果と同様に、焼結が起こるとアグリゲイトは、壊れやすくなるようである。

 今後は、本稿では示していない、衝突によって生まれる破片の分布や衝突による圧縮の度合いについてさらに研究する必要がある。