JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS07] [JJ] 惑星科学

2017年5月25日(木) 09:00 〜 10:30 A04 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:鎌田 俊一(北海道大学 創成研究機構)、岡本 尚也(千葉工業大学惑星探査研究センター)、座長:門屋 辰太郎(東京大学理学系研究科)、座長:濱野 景子(東工大ELSI)

09:30 〜 09:45

[PPS07-20] 水素に富む大気をもつ地球型惑星の固化と初期表層環境

*濱野 景子1玄田 英典1阿部 豊2 (1.東京工業大学 地球生命研究所、2.東京大学 地球惑星科学専攻)

キーワード:マグマオーシャン、還元的な大気、海洋形成、初期表層環境

形成の段階で巨大衝突を経験した地球型惑星は大規模に溶融し,マグマの海(マグマオーシャン)に覆われると予想される.揮発性物質を獲得していた場合,マグマオーシャン上には大気が形成され,その保温・温室効果は惑星の固化速度に影響を与える.この大気とマグマオーシャンの共進化問題は,強い温室効果気体である水蒸気・二酸化炭素からなる酸化的な大気について検討されてきた(e.g. Elkins-Tanton 2008, Hamano et al. 2013,2015, Lebrun et al. 2013).一方で,円盤ガスの捕獲や巨大衝突時に撒き散らされた金属鉄との反応など,惑星がもつ初期大気組成の酸化還元度は多様であることが予想される.

本研究では,大気の酸化還元状態がマグマオーシャンの熱収支にどのような影響を与えるのかを明らかにするため,水素-水蒸気大気の非灰色放射対流平衡計算を行った.高温な地表温度では,水蒸気大気では惑星放射は射出限界を下回らない.一方で,水蒸気分圧を一定とし比較すると,惑星放射は水素のモル分率とともに減少する.これは,水蒸気の気柱質量の増加と水素の保温効果によって生じる.惑星放射の減少は温度が低いほど顕著である.脱ガスにより大気中の主成分が水蒸気になるまで,マグマオーシャンからの熱フラックスは低下することがわかった. 本発表では放射対流平衡計算の結果と,海洋形成時期・固化後の初期表層環境への影響を議論する.