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[PPS07-26] 混合距離理論に基づく1次元熱進化計算法の改良
キーワード:熱進化、数値計算
固相熱対流は固体天体の熱進化にとって重要な働きをもつ。対流を考慮した熱進化計算に当たっては、2次元または3次元数値モデルが必要となり、これには多大な計算コストが掛かる。混合距離理論(MLT)に基づく1次元熱進化計算法はそれらと比較してかなり低コストで済むためパラメータスタディに適しているが、計算確度に関する詳細な研究が行われていないことが課題である。本研究では様々な曲率、レイリー数、粘性率コントラストにおいて、1次元MLT法で得た定常状態における鉛直1次元の温度構造と3次元数値計算で得られたものを比較し、計算誤差を求めた。粘性率が一様な場合、平均温度とヌッセルト数の相対誤差はそれぞれ>100%、~50%になることが分かった。そこで、計算確度を向上させるため、熱対流による熱輸送効率を左右するパラメータ、「混合距離」の新たな決め方を提案する。混合距離が最大となる深さaと、その深さにおける混合距離bをそれぞれ小さく、大きくすることで誤差が減少することが分かった。誤差が小さくなるaとbの経験式を導出した。同様の解析を、温度依存性を考慮した粘性率を用いた場合でも行い、aとbの経験式を得た。さらに、この方法を熱進化計算にも適用し、その有効性を確認した。