JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS07] [JJ] 惑星科学

2017年5月25日(木) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:鎌田 俊一(北海道大学 創成研究機構)、岡本 尚也(千葉工業大学惑星探査研究センター)

[PPS07-P15] 小惑星の形状形成の解明へ向けて:微惑星形状の衝突条件依存性

*杉浦 圭祐1犬塚 修一郎1小林 浩1 (1.名古屋大学大学院理学研究科)

キーワード:小惑星形状、微惑星衝突、SPH法、弾性体力学

近年のその場観測やライトカーブの詳細な解析により, 多くの小惑星はイトカワのような球から離れた不規則な形状をしていることが明らかとなってきた. このような不規則な形状は微惑星の衝突破壊・合体によって形成されたと考えられている. 衝突速度や衝突角度といった衝突条件とその結果できる天体の形状を関連付け, 現在の太陽系に存在する小惑星の形状と比較することにより, 太陽系の過去の環境に迫ることができると期待される.

 微惑星のような比較的小さい天体の場合, 自己重力だけではなく物質強度や粉々になった岩石間の摩擦力も重要となってくる. 我々は微惑星の衝突破壊, 及び重力再集積によってできる天体の形状を調べるため, 弾性体力学に拡張されたSmoothed Particle Hydrodynamics法の計算コードを開発した (Sugiura and Inutsuka 2016, 2017). さらにひび割れ破壊のモデル (Benz and Asphaug 1995) 及び摩擦のモデル (Jutzi 2015) も計算コードに導入した. 摩擦のモデルを導入することにより, 衝突で粉々になった岩石が自己重力で集積してできたラブルパイル天体の形状形成も再現することができる. 開発した計算コードは自己重力も同時に計算しているため, 衝突破壊とその後の自己重力再集積を整合的に取り扱うことができる.

 我々はこの計算コードを用いて, 半径50km程度の岩石微惑星どうしの衝突の数値計算を衝突速度, 衝突角度, 質量比を様々に変えながら実行し, その結果できた天体のなかで比較的大きいものの軸比を測定した. 本講演では衝突によってできる天体の形状と衝突条件の関連性, 及びそのような形状ができるメカニズムについて議論する.