14:45 〜 15:00
[PPS08-17] 月の起源と進化
キーワード:ABELモデル、月の地質、大気海洋成分の二次的付加
本講演では、月の歴史に関する新しいモデルを提案する。これは、近年行われてきた月の岩石における年代学の総まとめと、特にABEL Bombardmentモデル、リソロジー、マントルトモグラフィー、小惑星の衝突といった研究成果を地殻の厚さと表層のクレーター分布を組み合わせることによって可能になった。この新たなモデルの核にあるのは、ABELモデルである。ABELモデルは地球の二段階形成理論を説明したものであり、(1)還元的な地球―月系が4.53Gaに誕生し、(2)その後、4.37-4.20Gaの間にABEL Bombardmentによって大気・海洋成分が二次的に地球―月系にもたらされた、とするものである。
ABEL Bombardmentにおいて、小惑星の衝突は月の表側に選択的に起き、その摩擦熱はマントル深部にも達した。約4.37Gaの最大規模の隕石衝突はマントルを経由して月の裏側のエイトケンにも影響を及ぼし、また、揮発性物質を供給したことにより加水マントルの粘性を下げる役割を果たした。隕石衝突から2億年経過するころには、リバウンド効果によって、マントルが深部から表層に持ち上がりクレーター内部で一連の玄武岩噴出が起きた。このようなリバウンドは表側でのみみられる現象で、裏側ではほとんど起きなかった。
ここで新しく提案する月の歴史の主要なイベントは月の7つに集約される。(1)地球―月系を作ったジャイアントインパクト、(2)マグマオーシャンの形成と固化、(3)4.37-4.20Gaに起きたABEL Bombardmentによる水成分の二次的付加、(4)プロセラルム地域にみられるようなマントルリバウンドによる玄武岩の噴出、(5)強力な磁場の発生、(6)コペルニクス代の隕石爆撃、(7)月震を伴うガスの噴出。
ABEL Bombardmentにおいて、小惑星の衝突は月の表側に選択的に起き、その摩擦熱はマントル深部にも達した。約4.37Gaの最大規模の隕石衝突はマントルを経由して月の裏側のエイトケンにも影響を及ぼし、また、揮発性物質を供給したことにより加水マントルの粘性を下げる役割を果たした。隕石衝突から2億年経過するころには、リバウンド効果によって、マントルが深部から表層に持ち上がりクレーター内部で一連の玄武岩噴出が起きた。このようなリバウンドは表側でのみみられる現象で、裏側ではほとんど起きなかった。
ここで新しく提案する月の歴史の主要なイベントは月の7つに集約される。(1)地球―月系を作ったジャイアントインパクト、(2)マグマオーシャンの形成と固化、(3)4.37-4.20Gaに起きたABEL Bombardmentによる水成分の二次的付加、(4)プロセラルム地域にみられるようなマントルリバウンドによる玄武岩の噴出、(5)強力な磁場の発生、(6)コペルニクス代の隕石爆撃、(7)月震を伴うガスの噴出。