JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS08] [JJ] 月の科学と探査

2017年5月20日(土) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:長岡 央(早稲田大学理工学術院総合研究所)、諸田 智克(名古屋大学大学院環境学研究科)、西野 真木(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、本田 親寿(会津大学)

[PPS08-P09] Crisium盆地周辺のカンラン石、斜長石の鉱物分布

*我妻 雄史1平田 成1 (1.会津大学)

キーワード:月地殻、カンラン石、斜長石、マルチバンドイメージャ

Purest anorthosite (PAN) やカンラン石の月全球分布が先行研究 (Ohtake et al., 2009, Yamamoto et al., 2010, 2012)によって明らかにされたが、特定の小さな地域を詳細に研究されることはあまりなかった。特定の地域を詳細に解析することも月の地殻構造を調べることに重要な役割を果たす。そこで Sugamiya and Hirata (2015) は、月の主な鉱物の存在が確認されていた危難の海盆地南西部分の、斜長石、カンラン石、輝石の鉱物分布を、月探査機かぐやが搭載していたMultiband Imager (MI) のデータを用いて明らかにした。MI は高い空間分解能を持ち、月全体を隙間なく観測することができる。本研究では、解析する地域を危難の海盆地周辺全域に広げ、Sugamiya and Hirata (2015) と同じ手法を用いて、カンラン石、斜長石の鉱物分布を解析した。危難の海盆地周辺の多くの地点でカンラン石、斜長石が見つかり、また、鉱物が広く均一に分布していることが分かった。Sugamiya and Hirata (2015) で見られたように、鉱物のある地点は、盆地周辺の小さなクレーターと関連して見つかった。カンラン石の見つかったクレーターのクレーターサイズ頻度分布と 危難の海盆地が形成されたと推定される34.4億年前のisochronデータがクレーターの直径6 km以上の範囲で、ほとんど一致した。このことから、カンラン石は直径6 km以上のほぼすべてのクレーターに存在していることが推測される。さらに、危難の海盆地のエジェクタ層内では、地下600 m以深に大量のカンラン石岩体が存在している可能性が高い。