JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS09] [JJ] 宇宙における物質の形成と進化

2017年5月22日(月) 13:45 〜 15:15 104 (国際会議場 1F)

コンビーナ:橘 省吾(北海道大学大学院理学研究院自然史科学専攻地球惑星システム科学分野)、三浦 均(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)、大坪 貴文(東京大学大学院総合文化研究科)、野村 英子(東京工業大学理学院地球惑星科学系)、座長:野村 英子(東京工業大学理学院地球惑星科学系)、座長:橘 省吾(北海道大学大学院理学研究院自然史科学専攻地球惑星システム科学分野)

13:45 〜 14:05

[PPS09-01] 原始惑星系円盤におけるダスト整列過程

★招待講演

*田崎 亮1,2Lazarian Alexandre3野村 英子2 (1.京都大学、2.東京工業大学、3.ウィスコンシン大学マディソン校)

キーワード:原始惑星系円盤、偏光観測、ダスト整列

近年、ALMAによって(サブ)ミリ波域における原始惑星系円盤の偏光特性が明らかになりつつある。しかし、これらの波長における偏光の起源は未だ明らかになっていない。そこで、我々は(サブ)ミリ波における円盤偏波の起源を探る為、原始惑星系円盤におけるダストの整列過程について検討を行った。
我々はダストの輻射整列理論と円盤の3次元輻射輸送シミュレーションを組み合わせ、円盤中の各場所における輻射トルクの大きさを計算し、円盤の各場所において整列可能なダスト半径、整列軸を求めた。輻射トルクによるダスト整列理論によると、ダストの歳差運動の歳差軸が整列軸となる。星間空間においては、ダストは磁場周りをLarmor歳差運動していると考えられているため、磁場対してダストが整列していると考えられている。しかし、今回、円盤中のmmサイズのダストの場合、円盤ガスの影響によってLarmor歳差運動が妨げられ、ダストが磁場に整列することは困難であることがわかった。その代わり、このようなダストに対して輻射トルクを成因とする輻射歳差運動が支配的な歳差運動となるため、輻射フラックスの向きにダストが整列することがわかった。従って、mmサイズのダストをトレースすると考えられる(サブ)ミリ波での円盤偏光撮像観測においては、磁力線の構造ではなく、輻射場をトレースするような偏光ベクトルが観測されることになる。一方で、円盤表層に存在するミクロンサイズのダストも磁性体に欠乏している場合は、同様に、輻射フラックスの向きに整列する。しかし、ダストが超常磁性体を豊富に含む場合、円盤表層のガス密度の薄い領域で磁場に対する整列が可能であることを示した。このような表層のミクロンサイズのダストは中間赤外線の偏光撮像観測によって観測が可能であることがわかった。