[P-PS09] [JJ] 宇宙における物質の形成と進化

[PPS09-07] 低質量星形成領域L1527における長鎖炭素鎖分子CH₃CCCCH, C₆H, linear-C₆H₂, C₇Hの検出

*荒木 光典¹、高野 秀路²、坂井 南美³、山本 智⁴、小山 貴裕¹、久世 信彦⁵、築山 光一¹ (1.東京理科大学理学部第一部化学科、2.日本大学、3.理化学研究所、4.東京大学、5.上智大学)

キーワード：炭素鎖、電波、分子雲

我々はアメリカ国立電波天文台の GBT 100 m 電波望遠鏡を用いて、Warm Carbon Chain Chemistry（WCCC）領域における炭素鎖分子の存在量調査を42‒44 GHz帯で行った。長鎖の炭素鎖分子C₇H, C₆H, CH₃C₄H, linear-C₆H₂と環状分子C₃H, C₃H₂Oが検出できた。特に、C₇Hは分子雲での初の検出となった。その柱密度は6.2 × 10¹⁰ cm⁻²と求められた。C₆H の基底状態²П_3/2 の21.6 K上に存在する電子励起状態 ²Π_1/2とlinear-C₆H₂のパラ種も、分子雲での初の検出となった。C₆H の柱密度は1.3 × 10¹² cm⁻²、linear-C₆H₂は1.86 × 10¹¹ cm⁻²となった。これまでに得られているTMC-1とL1527での炭素鎖分子の柱密度（存在量）を比較すると、炭素鎖が長くなるとL1527での柱密度が少なくなる傾向がある。CH₃C₂H と CH₃C₄Hの間では、この傾向が表れている。しかし、linear-C₆H₂とC₇Hの場合、その傾向からずれ、L1527 でも存在量が TMC-1と同等であった。よって、観測されたlinear-C₆H₂とC₇H の存在量は、L1527もTMC-1同様に炭素鎖分子が豊富であることを示す。