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[PPS10-18] Origin of silica minerals in basaltic eucrites
キーワード:ユークライト、シリカ鉱物、カソードルミネッセンス
ユークライト隕石は、小惑星ベスタを起源に持つと考えられている分化隕石の一種である。先行研究から、ユークライトは、固化後、母天体上で様々な二次的プロセス(熱変成作用、衝撃変成作用、交代作用)を受けていることが知られている。本研究は、異なる熱変成度を示す玄武岩質ユークライト中のシリカ鉱物の化学組成、組織、産状を指標とし、二次的プロセスにアプローチする。玄武岩質ユークライトの熱変成度[1]を、輝石の鉱物学的特徴からタイプ1から6に分類した。また、シリカ鉱物を、走査型電子顕微鏡やカソードルミネッセンス顕微鏡により観察した。この結果、熱変成度とシリカ鉱物の種類やその組織との間に関連性が見出された。熱変成度が中程度より低いユークライトにおいて石英は、微細な結晶の集合体として産し、粗粒なトリディマイトのリムや内部に脈状に分布する。細粒な石英は二次的に形成した可能性が高いと推察された。一方、熱変成度が高いユークライト中のシリカ鉱物は、ほとんど粗粒なトリディマイトである。特に、AgoultとEET 90020は高温変成作用が示唆されており[2]、この事実とトリディマイトの産状は調和的である。このように、二次的なシリカ鉱物の産状は隕石母天体上での複雑な二次的変成作用を明らかにする指標となる。