JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG65] [EE] 混濁流:発生源から堆積物・地形形成まで

2017年5月25日(木) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:横川 美和(大阪工業大学情報科学部)、泉 典洋(北海道大学大学院工学研究院)、Svetlana Kostic(Computational Science Research Center, San Diego State University)、阪口 口(国立研究開発法人海洋研究開発機構)

[SCG65-P03] Identification of muddy seismogenic turbidite from sedimentary structure and chemical composition

*奥津 なつみ1芦 寿一郎1大村 亜希子1山口 飛鳥1金松 敏也2菅沼 悠介3村山 雅史4 (1.東京大学大気海洋研究所、2.海洋研究開発機構、3.国立極地研究所、4.高知大学海洋コア総合研究センター)

キーワード:turbidity current, event deposit, paleoseismic records, Nankai trough

海底堆積物中のタービダイトを用いた古地震研究は世界各地で行われており、様々な成果があげられている。なかでも、近年注目されているのが泥質の地震性タービダイトである。しかし、泥質タービダイトの特徴について報告した研究は多くない。そこで本研究では、堆積構造や化学組成に着目しつつ、試料内における泥質タービダイトの分布を明らかにすることを目的とした。
 試料は紀伊半島沖および日向沖の小海盆より採取されたマルチプルコアとピストンコアである。これらの試料に対して、肉眼観察、X線CTスキャン、帯磁率異方性・古地磁気・電気比抵抗測定、XRFコアスキャナーを用いた化学組成分析を行った。
 肉眼では無構造の泥質試料においても、奥津ほか(2016, JpGU要旨)で報告したようにCTスキャン画像ではラミナの発達した層とそれを覆う無構造の泥層が明瞭に確認された。さらにXRFコアスキャナーを用いた分析では、CTスキャン画像で認定されたタービダイト層基底部付近でCa値とFe値のピークが確認された。Mn値も全てにおいてではないが同様の傾向が見られた。Ca値とFe値の変動は岩井ほか(2014, 地質学会要旨)の報告と概ね一致する。さらに詳しく見るとFe値のピークのやや上位にCa値のピークが常に存在する。Ca値とFe値の相関は、タービダイト層基底部とそれ以外の層で異なる傾向を示しており、タービダイト層と半遠洋性泥層を判別できる可能性があげられる。Ca値およびFe値のピークは、生物擾乱などの影響で、CTスキャン画像で堆積構造が確認しにくいようなタービダイト層でも見られた。これらのことから、泥質タービダイトの認定においては、X線CT画像に加え、XRFコアスキャナーによる元素分析が有効な手段となると言える。