16:45 〜 17:00
[SCG70-12] 2016年熊本地震余震観測と微動アレー探査による熊本平野南北測線の地震動特性評価
キーワード:地震動特性、2016年熊本地震、熊本平野南北測線
筆者らは、平成28年(2016年)熊本地震発生以降、熊本平野における地震動特性を評価することを目的として、熊本平野西部を南北に縦断する測線において地震観測を実施している。本報告では、収録した地震記録から求めた各観測点での地盤増幅特性とともに、地震観測点周辺で実施した微動アレー観測記録によるS波速度構造の推定結果について報告する。
熊本平野南北測線の地震観測では、熊本平野北端部の金峰火山東麓から平野南端部の宇土半島に至る総長約15kmの区間に、300m~2.5km間隔で計15台の地震計を設置した。各観測点には、白山工業製ロガーLS8800とミツトヨ製加速度計JEP-6A3を設置し、地震計からの加速度信号を連続記録として100Hzサンプリングで収録しており、このうち測線北部の2地点では4月16日の本震(Mj7.3)の地震動を記録している。
阿蘇周辺を震源とする地震記録を用いて、基準観測点に対する各観測点のフーリエ振幅スペクトル比を求めることで地盤増幅特性の評価を行なった。基準観測点として、金峰山火山西麓の岩盤サイトである九州大学熊本観測点(KU.KMP1)と、宇土半島の火山岩類上に設置された臨時観測点の記録を用いた。スペクトルの算出にはS波到達から5秒間のデータを用い、0.4Hzのparzen windowによる平滑化を行なっている。その結果、沖積低地の広がる測線中部から南部にかけての観測点においては、全体として1~2Hz付近で大きく増幅される傾向が見られるが、その増幅倍率や3Hz以上の周波数帯域での特性に観測点ごとに違いが見られた。また、測線北端に近い観測点中の数箇所においては、沖積低地内の観測点よりも高い周波数(2~5Hz)にピークが見られる箇所や、増幅倍率が低い箇所もあり、熊本平野南北測線に沿った表層地盤の複雑な変化を示唆している。測線北部の観測点のスペクトル比は、1~3Hz付近でNS成分とEW成分の形状が大きく異なっていることが確認された。基準観測点と熊本平野の堆積層内のいずれか、またはその双方に、何らかの異方性があるものと推察されるが、その成因については今後の検討課題としたい。
次に、熊本平野南北測線の表層地盤による地震動増幅の違いについて検証を行なうために、各地震観測点周辺において微動アレー観測を実施した。上下動加速度計を辺長1.5m~24mの二重三角形とその中心に配置し、サンプリング周波数100Hzで10~20分間の測定を行なった。観測された微動アレー記録を用い、SPAC法によりレイリー波の位相速度を推定した後に、遺伝的アルゴリズム(GA)による逆解析を行なってS波速度構造を求めた。沖積低地内の観測点では、表層にS波速度100m/s程度の低速度層が堆積しており、観測点によってはその厚さが15m以上となっている場合があることが確認された。示したS波速度構造は速報的なものであるが、地震記録による増幅特性の結果とあわせて、熊本平野南北測線における地震動特性について議論を行なう。
熊本平野南北測線の地震観測では、熊本平野北端部の金峰火山東麓から平野南端部の宇土半島に至る総長約15kmの区間に、300m~2.5km間隔で計15台の地震計を設置した。各観測点には、白山工業製ロガーLS8800とミツトヨ製加速度計JEP-6A3を設置し、地震計からの加速度信号を連続記録として100Hzサンプリングで収録しており、このうち測線北部の2地点では4月16日の本震(Mj7.3)の地震動を記録している。
阿蘇周辺を震源とする地震記録を用いて、基準観測点に対する各観測点のフーリエ振幅スペクトル比を求めることで地盤増幅特性の評価を行なった。基準観測点として、金峰山火山西麓の岩盤サイトである九州大学熊本観測点(KU.KMP1)と、宇土半島の火山岩類上に設置された臨時観測点の記録を用いた。スペクトルの算出にはS波到達から5秒間のデータを用い、0.4Hzのparzen windowによる平滑化を行なっている。その結果、沖積低地の広がる測線中部から南部にかけての観測点においては、全体として1~2Hz付近で大きく増幅される傾向が見られるが、その増幅倍率や3Hz以上の周波数帯域での特性に観測点ごとに違いが見られた。また、測線北端に近い観測点中の数箇所においては、沖積低地内の観測点よりも高い周波数(2~5Hz)にピークが見られる箇所や、増幅倍率が低い箇所もあり、熊本平野南北測線に沿った表層地盤の複雑な変化を示唆している。測線北部の観測点のスペクトル比は、1~3Hz付近でNS成分とEW成分の形状が大きく異なっていることが確認された。基準観測点と熊本平野の堆積層内のいずれか、またはその双方に、何らかの異方性があるものと推察されるが、その成因については今後の検討課題としたい。
次に、熊本平野南北測線の表層地盤による地震動増幅の違いについて検証を行なうために、各地震観測点周辺において微動アレー観測を実施した。上下動加速度計を辺長1.5m~24mの二重三角形とその中心に配置し、サンプリング周波数100Hzで10~20分間の測定を行なった。観測された微動アレー記録を用い、SPAC法によりレイリー波の位相速度を推定した後に、遺伝的アルゴリズム(GA)による逆解析を行なってS波速度構造を求めた。沖積低地内の観測点では、表層にS波速度100m/s程度の低速度層が堆積しており、観測点によってはその厚さが15m以上となっている場合があることが確認された。示したS波速度構造は速報的なものであるが、地震記録による増幅特性の結果とあわせて、熊本平野南北測線における地震動特性について議論を行なう。