JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG71] [EJ] 海洋底地球科学

2017年5月24日(水) 15:30 〜 17:00 201A (国際会議場 2F)

コンビーナ:沖野 郷子(東京大学大気海洋研究所)、座長:三浦 誠一(海洋研究開発機構)、座長:佐藤 勇輝(東北大学大学院理学研究科)

15:45 〜 16:00

[SCG71-02] オントンジャワ海台は分厚い海洋性地殻か?

*三浦 誠一1藤江 剛1白井 太朗1野口 直人1小平 秀一1ミラード コフィン2カワグル サイモン3ヴェラヴ ロナルド4 (1.海洋研究開発機構、2.タスマニア大学、3.パプアニューギニア大学、4.パプアニューギニア鉱物資源庁)

キーワード:大規模火成岩区域、オントンジャワ海台、MCS、OBS、地殻、モホ面

オントンジャワ海台(OJP)は大規模火成岩区域(LIP)の中でも最大級であり代表例のひとつである(Coffin and Eldholm, 1994)。周囲の海洋底から水深が浅くなっている部分は日本列島の5倍にも匹敵する面積(1.6 x 10^6 km^2: Mahoney et al., 2001)である。OJPにおけるこれまでの深海掘削結果から、基盤岩は概ね120Maの玄武岩となっており(Shipboard Scientific Party, 2001)、広大なOJPが地質学的に短時間に形成されたことが推定されている。このようなOJPおよびLIPの形成メカニズムについて、プリューム説(e.g. Richards et al., 1989)、隕石衝突説(e.g. Ingle and Coffin, 2004)、デラミネーション(e.g. Elkins-Tanton, 2005)、など様々なモデルが提唱されているが、既存の観測事実をすべて説明するには至っていない。形成メカニズム解明のためには構造情報が重要であるが、これまでモホ面深度についても観測手法によって諸説ありはっきりしていなかった。例えば地震学的手法による結果では最大42㎞(Furumoto et al., 1976)だが、重力モデリングによる結果では25㎞と大きく異なっていた(Sandwell and Renkin, 1988)。そのため信頼性の高いモホ面深度を求めることが必要であった。海洋研究開発機構では2010年にOJPの中央部High Plateauにおいて大容量エアガンアレイと100台の海底地震計(OBS)を用いた大規模地震学的構造探査を実施した(Miura et al., 2011)。得られたデータは高品質で、OBSデータではオフセット距離300㎞以上からの初動走時が確認できる。初動走時とモホ面反射波を用いたインバージョン解析によるP波速度構造からモホ面の最大深度は約43㎞となる。その速度構造は海洋性地殻を大規模にしたもののように見える。速度勾配の比較的大きな地殻上部と、速度勾配の比較的小さい地殻下部が分布しており、海洋性地殻第2層と第3層に相当すると考えられる。P波速度だけでなく、S波速度およびVp/Vs比からも海洋性地殻とほぼ同等である。速度構造から密度を仮定した簡易計算によるとアイソスタシーがなりたち、高密度層は必要としない。そのため現在のOJPが陸化していないのは構造的に説明できることとなる。またOJPの速度構造は地殻の厚さは異なるもののアイスランドの構造と似ている(Foulger et al., 2003)。アイスランドは大西洋中央海嶺にホットスポットが影響して陸化しているが、OJPでは陸化していないと考えられている。形成メカニズムが全く同じというわけにはいかないが、重要な示唆を与える。本発表では形成メカニズムについて検討したい。