09:45 〜 10:00
[SCG71-10] インド洋ロドリゲス三重会合点かいれい熱水域における地震活動と3次元速度構造
キーワード：海底下の大河、熱水地域、地震活動、地殻構造、NTOマッシフ
1. はじめに
インド洋ロドリゲス三重会合点の北側、中央インド洋海嶺の第1セグメント北部の東側には、かいれい熱水域があり、水素を多量に含む熱水が噴出している。この熱水域周辺の海底面で、蛇紋岩や斑レイ岩、かんらん岩などの岩石が採取されている。本来深部にあるはずのこれらの岩石が浅いところにあるので、熱水に水素が豊富に含まれると考えられている。また、この熱水域には、水素を活動源にする生物が生息している。「海底下の大河」プロジェクト（海底下での熱水循環に関わる生物・地学的現象の解明研究）では、この地域を「水素の大河」と呼んでいる。この地域は、第2セグメントとの境界のnon-tranform offset (NTO)に近く、NTO massifであると言われている。かいれい熱水域において、深部岩石がどう分布しているのか、また、熱水循環がどうなっているのかを調べるために、海底地震計の用いた地震活動と地殻構造の調査を行った。
2016年連合大会では、かいれい熱水域の北西 3-5km のところに群発地震があり、深さ約4-7kmまでのところに集中していて、そのメカニズムは正断層型であることや、海嶺軸部の群発地震は、深さ約6-8kmのところに集中し、その分布は上下に2つに分かれていて、両者ともに西に60°-70°傾斜していることなどを報告した。
今回は、より正確な震源分布と構造を求めるため、TomoDD(Zhang and Thurber, 2003)を用いて人工震源と自然地震の両方を用いて3次元地震波速度構造を求め、同時に震源の再決定を行った。
2. 観測・解析概要
2013年1月27日から3月19日にかけて海洋研究開発機構、観測調査船「よこすか」を用いて人工震源構造調査および自然地震観測を行った (YK13-01航海、YK13-03航海)。使用した海底地震計は全部で21台である。解析は、震源分布と速度構造の同時決定が行えるTomoDD(Zhang and Thurber, 2003)を用いた。自然地震を用いることにより深部（海面下8kmくらいまで）の解像度がよくなった。
3. 結果
かいれい熱水域がある白鳳海丘とYokoniwa Riseの地下1-2 km付近で速度6.0 km/sを超える高速度領域が確認された。Yokoniwa Rise直下の高速度領域はYokoniwa Rise全体に広がっている。海嶺軸下は周辺より速度がやや遅くマグマの存在を示唆している。震源分布は第1セグメント北部の海嶺下や熱水域付近に集中していて、西に60°-70°傾斜の分布が複数存在している。このことは複数の断層が活動していてNTO massifの形成に関与しているように見える。かいれい熱水域の北西 3-5km のところの群発地震は、熱水域から遠いところに浅い地震が分布していて、海水の取り込み口のようにも見える。
謝辞
観測に関して、海洋研究開発機構の観測調査船「よこすか」の船長と乗組員の方々の協力を頂きました。本研究は科研費新学術領域20109002の助成を受けて行われました。
インド洋ロドリゲス三重会合点の北側、中央インド洋海嶺の第1セグメント北部の東側には、かいれい熱水域があり、水素を多量に含む熱水が噴出している。この熱水域周辺の海底面で、蛇紋岩や斑レイ岩、かんらん岩などの岩石が採取されている。本来深部にあるはずのこれらの岩石が浅いところにあるので、熱水に水素が豊富に含まれると考えられている。また、この熱水域には、水素を活動源にする生物が生息している。「海底下の大河」プロジェクト（海底下での熱水循環に関わる生物・地学的現象の解明研究）では、この地域を「水素の大河」と呼んでいる。この地域は、第2セグメントとの境界のnon-tranform offset (NTO)に近く、NTO massifであると言われている。かいれい熱水域において、深部岩石がどう分布しているのか、また、熱水循環がどうなっているのかを調べるために、海底地震計の用いた地震活動と地殻構造の調査を行った。
2016年連合大会では、かいれい熱水域の北西 3-5km のところに群発地震があり、深さ約4-7kmまでのところに集中していて、そのメカニズムは正断層型であることや、海嶺軸部の群発地震は、深さ約6-8kmのところに集中し、その分布は上下に2つに分かれていて、両者ともに西に60°-70°傾斜していることなどを報告した。
今回は、より正確な震源分布と構造を求めるため、TomoDD(Zhang and Thurber, 2003)を用いて人工震源と自然地震の両方を用いて3次元地震波速度構造を求め、同時に震源の再決定を行った。
2. 観測・解析概要
2013年1月27日から3月19日にかけて海洋研究開発機構、観測調査船「よこすか」を用いて人工震源構造調査および自然地震観測を行った (YK13-01航海、YK13-03航海)。使用した海底地震計は全部で21台である。解析は、震源分布と速度構造の同時決定が行えるTomoDD(Zhang and Thurber, 2003)を用いた。自然地震を用いることにより深部（海面下8kmくらいまで）の解像度がよくなった。
3. 結果
かいれい熱水域がある白鳳海丘とYokoniwa Riseの地下1-2 km付近で速度6.0 km/sを超える高速度領域が確認された。Yokoniwa Rise直下の高速度領域はYokoniwa Rise全体に広がっている。海嶺軸下は周辺より速度がやや遅くマグマの存在を示唆している。震源分布は第1セグメント北部の海嶺下や熱水域付近に集中していて、西に60°-70°傾斜の分布が複数存在している。このことは複数の断層が活動していてNTO massifの形成に関与しているように見える。かいれい熱水域の北西 3-5km のところの群発地震は、熱水域から遠いところに浅い地震が分布していて、海水の取り込み口のようにも見える。
謝辞
観測に関して、海洋研究開発機構の観測調査船「よこすか」の船長と乗組員の方々の協力を頂きました。本研究は科研費新学術領域20109002の助成を受けて行われました。