10:00 〜 10:15
[SCG72-05] 揺れの数値予報:経験的な地震動予測式に対応した距離減衰の導入
キーワード:prediction of seimic ground motion, earthquake early warning, GMPE
Hoshiba and Aoki (2015) により提案された“揺れの数値予報” は,新しい地震即時予測の手法であり,従来の震源情報(震源位置とマグニチュード)の即時推定に基づく方法と異なり,震源情報を必要としない.それに代わって,データ同化手法を用いて地震波動場の現状を正確に把握し,その後に,波動伝播の物理(波動伝播シミュレーション)を用いて未来の波動場を予測するものである.これは,気象分野の天気の数値予報の考え方に近い.
この揺れの数値予報は,近い未来(つまり,近傍の予測点)の予測に対しては,従来の震源情報に基づく方法よりも精度の高い予測を示したが,遠い未来(遠い予測点)では必ずしもそうではなかった.これは,Hoshiba and Aoki (2015)では,2次元での波動エネルギー(~振幅2)の伝播のシミュレーションを用いたためである.波動エネルギーの距離減衰は,2次元では(距離)-1に比例するが,3次元では(距離)-2である.多くの経験的な地震動予測式(GMPE)の距離減衰は,この-1と-2乗の間にあることが多く,実際,現在,気象庁が現在緊急地震速報で用いているものは,-1.72乗である.なお,波動エネルギー伝播のシミュレーションを3次元で計算することはそれほど難しくはないものの,問題は,地震観測は地表(つまり,2次元)に限られていることであり,この場合,データ同化を行ったとしても地表付近にしか作用しない.
この2次元と3次元の違いを克服し,(-1)と(-2)の間の任意の距離減衰関係を仮想的に実現するために,距離減衰に新たなパラメータを導入した.これにより,経験的なGMPEと等価な距離減衰関係を与えることが出来る.そして,遠い未来においても精度のよい予測が可能となる.
2004年中越地震や2016年熊本地震などを例に取り,予測結果を示す.
この揺れの数値予報は,近い未来(つまり,近傍の予測点)の予測に対しては,従来の震源情報に基づく方法よりも精度の高い予測を示したが,遠い未来(遠い予測点)では必ずしもそうではなかった.これは,Hoshiba and Aoki (2015)では,2次元での波動エネルギー(~振幅2)の伝播のシミュレーションを用いたためである.波動エネルギーの距離減衰は,2次元では(距離)-1に比例するが,3次元では(距離)-2である.多くの経験的な地震動予測式(GMPE)の距離減衰は,この-1と-2乗の間にあることが多く,実際,現在,気象庁が現在緊急地震速報で用いているものは,-1.72乗である.なお,波動エネルギー伝播のシミュレーションを3次元で計算することはそれほど難しくはないものの,問題は,地震観測は地表(つまり,2次元)に限られていることであり,この場合,データ同化を行ったとしても地表付近にしか作用しない.
この2次元と3次元の違いを克服し,(-1)と(-2)の間の任意の距離減衰関係を仮想的に実現するために,距離減衰に新たなパラメータを導入した.これにより,経験的なGMPEと等価な距離減衰関係を与えることが出来る.そして,遠い未来においても精度のよい予測が可能となる.
2004年中越地震や2016年熊本地震などを例に取り,予測結果を示す.