JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG72] [EJ] 地震動・地殻変動・津波データの即時把握・即時解析・即時予測

2017年5月20日(土) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:干場 充之(気象研究所)、川元 智司(国土交通省国土地理院)、山本 直孝(防災科学技術研究所)、田島 文子(University of California at Irvine)

[SCG72-P04] グリーン関数を応用した沖合設置津波計の最適化

*舘畑 秀衛1早稲田 卓爾1,2 (1.東京大学海洋アライアンス、2.東京大学大学院新領域創成学研究科海洋技術環境学専攻)

キーワード:津波、インバージョン、観測ネットワーク、最適化

現在,津波逆解析(インバージョン)は,津波の初期海面変動を求める理学目的だけでなく,津波防災においても大きな役割を担っている.津波インバージョンのための観測データとしては,沖合設置津波計の有効性が認識されており,観測と解析の主流となっている.一方,意外かもしれないが,日本は世界最大の津波被災国ではない.日本は歴史上何度も津波災害を受けてきたが,それぞれの津波の犠牲者数は数万人程度であって,例えば2004年12月26日スマトラ島沖地震(M9.1)では,最大被害国のインドネシアでは23万人が犠牲数となっており,311津波の約10倍である.しかしインドネシアのGDPは日本の1/5であり,S-netに相当する津波観測システムを独自に整備することは困難と想像される.もしS-netと同等の性能を持つ観測システムが1/5のコストで実現できたなら,多くの津波被災国への貢献が期待できる.津波逆解析を前提とした沖合設置津波計の配置や,設置密度等を客観的に求めた研究は少なく,また津波の観測要素は特殊な場合を除いて高さだけの1成分観測が主流である.グリーン関数を用いる線形インバージョンを前提にし,観測点の配置の客観的な考察方法としては,データ解像度行列などの手法が発表されている.さらに観測要素として津波の高さに流速2成分を加えた3成分観測とし,1観測点当たり得られる情報量を増やして観測点配置を客観的に最適化すれば,全体の観測点数を減じてコストダウンできる可能性がある.本研究では,観測点の有効性を判定する手法の一つであるデータ解像度行列と,高さと流速の3成分観測を想定し,観測時間長を15分間に限定する条件で,311東北津波をターゲットとして事例解析的に考察した.結果は波源真上~波源内の3成分観測,日本海溝から太平洋に向かって拡大した観測点配置が,インバージョンと観測点節約に有効であった.今回は,その結果を紹介する.