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[SCG74-09] モンモリロナイトの定方位度が摩擦強度に与える影響
キーワード:二軸摩擦試験、法線応力依存性、水和、膨潤、粘土鉱物
断層運動や地滑りの発生において、すべり面に粘土鉱物が存在する場合があることが、これまでの調査から明らかになってきている。粘土鉱物の多くは1nmの厚みの層を最小単位とする平板状の結晶構造を持ち、比表面積が大きい。このような粘土鉱物の表面は水との親和性が高く、水存在下で膨潤する特徴を持つ。粘土鉱物の層間に水が入ると、その摩擦特性が変化するため、どのような環境の下で膨潤し、摩擦特性がどのように変化するかを知ることが重要である。
また、粘土鉱物はアスペクト比の大きな平板状の構造を持つことから、そのすべり面に対する定方位度によっても摩擦特性が変化することが予想される[1]。定方位度は粘土鉱物の生成条件によって異なるため[2]、様々な定方位度による摩擦強度を知ることが重要となる。本研究では、膨潤性の粘土鉱物の一つであるモンモリロナイトについて、乾燥条件下で定方位度により摩擦特性がどう変化するかを、2軸摩擦試験機により評価した。
試料として定方位度の異なる二種類のモンモリロナイト粉末を用意した。定方位度はX線回折により定量した。摩擦試験の前にモンモリロナイトの層間水の脱水状態を知るため、熱分析(TG-DTA)を実施した。それぞれの試料を70、100、120℃のオーブン中で一晩乾燥させ、乾燥度の影響を調べた。結果として、定方位度の低い試料では、120℃の場合数時間以内で層間水の脱水がほぼ完了するが、定方位度の高いモンモリロナイト試料では、120℃でも層間水の脱水に一晩以上の時間がかかり、層間水を保持しやすいことがわかった。これは、定方位度の高い試料の低ガス透過性が一つの要因と考えられる。
熱分析の結果を踏まえて、これらの試料を一晩オーブンで乾燥し、すぐに湿度制御下のチャンバー内に移動し、二軸摩擦試験を実施した。摩擦試験においては法線応力を5 MPaから40 MPaまで変化させ、それぞれの応力下でせん断応力を測定した。
(1)定方位度の高い試料について、乾燥度の違いによる摩擦強度の変化:低法線応力下では乾燥の程度が低いほど、せん断応力が減少した。一方で高法線応力下では100 と120℃の乾燥度に依存せず、せん断応力に差がほとんどなかった。このことは、乾燥度の低い試料では層間に部分的に水を含み摩擦強度が低いが、高法線応力下では層間水の脱水が起こり、摩擦強度が増大したと解釈できる。
(2)定方位度の違いによる摩擦強度の変化:定方位度の高い試料の方が低い試料よりもせん断応力が大きく、法線応力依存性も大きいことがわかった。これらの結果は、乾燥下におけるモンモリロナイト表面の凝着力の影響を捉えている可能性があり、本発表で詳細を議論する。
References
[1] Wintsch, Chrstoffersen, Kronenberg (1995) J. Geophys. Res., 100, B7, 13021-13032.
[2] Wenk, Kanitpanyacharoen, Voltolini (2010) J. Struct. Geol., 32, 478-489.
また、粘土鉱物はアスペクト比の大きな平板状の構造を持つことから、そのすべり面に対する定方位度によっても摩擦特性が変化することが予想される[1]。定方位度は粘土鉱物の生成条件によって異なるため[2]、様々な定方位度による摩擦強度を知ることが重要となる。本研究では、膨潤性の粘土鉱物の一つであるモンモリロナイトについて、乾燥条件下で定方位度により摩擦特性がどう変化するかを、2軸摩擦試験機により評価した。
試料として定方位度の異なる二種類のモンモリロナイト粉末を用意した。定方位度はX線回折により定量した。摩擦試験の前にモンモリロナイトの層間水の脱水状態を知るため、熱分析(TG-DTA)を実施した。それぞれの試料を70、100、120℃のオーブン中で一晩乾燥させ、乾燥度の影響を調べた。結果として、定方位度の低い試料では、120℃の場合数時間以内で層間水の脱水がほぼ完了するが、定方位度の高いモンモリロナイト試料では、120℃でも層間水の脱水に一晩以上の時間がかかり、層間水を保持しやすいことがわかった。これは、定方位度の高い試料の低ガス透過性が一つの要因と考えられる。
熱分析の結果を踏まえて、これらの試料を一晩オーブンで乾燥し、すぐに湿度制御下のチャンバー内に移動し、二軸摩擦試験を実施した。摩擦試験においては法線応力を5 MPaから40 MPaまで変化させ、それぞれの応力下でせん断応力を測定した。
(1)定方位度の高い試料について、乾燥度の違いによる摩擦強度の変化:低法線応力下では乾燥の程度が低いほど、せん断応力が減少した。一方で高法線応力下では100 と120℃の乾燥度に依存せず、せん断応力に差がほとんどなかった。このことは、乾燥度の低い試料では層間に部分的に水を含み摩擦強度が低いが、高法線応力下では層間水の脱水が起こり、摩擦強度が増大したと解釈できる。
(2)定方位度の違いによる摩擦強度の変化:定方位度の高い試料の方が低い試料よりもせん断応力が大きく、法線応力依存性も大きいことがわかった。これらの結果は、乾燥下におけるモンモリロナイト表面の凝着力の影響を捉えている可能性があり、本発表で詳細を議論する。
References
[1] Wintsch, Chrstoffersen, Kronenberg (1995) J. Geophys. Res., 100, B7, 13021-13032.
[2] Wenk, Kanitpanyacharoen, Voltolini (2010) J. Struct. Geol., 32, 478-489.