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[SEM19-05] 山崎断層系大原断層の地下比抵抗構造の再評価
キーワード:活断層、比抵抗構造、山崎断層系、大原断層、地磁気地電流法
山崎断層帯は,岡山県東部から兵庫県西南部にわたり,北から那岐山断層帯,山崎断層帯主部,草谷断層の3つの起震断層に区分される活断層帯である.このうち,山崎断層帯主部は,最新活動時期と平均変位速度の違いから,大原断層,土万断層,安富断層,暮坂峠断層からなる北西部と,琵琶甲断層および三木断層からなる南東部に区分される(地震調査研究推進本部地震調査委員会,2013).
山崎断層帯主部では,断層セグメント個々の地下構造やそれらが互いにどのように連続しているかを明らかにすることを目的として,Audio-frequency Magnetotelluric(AMT)法探査が展開されている(e.g. Yamaguchi et al., 2010).ここでAMT法とは,地磁気地電流法の一種で,比較的高い周波数(数Hz~約10kHz )の電磁場変動を信号源とし,地下浅部を高い空間分解能で描出できる手法である.
山崎断層帯主部の北西端に位置する大原断層では,上田ら(2009;2011)が,長さ約10kmの測線(大原測線と呼ぶ)上の7点でAMT観測を行い,深さ2km付近までの2次元比抵抗構造モデルを求めている.しかし,観測点間隔が広いこと,さらに,観測データに測定装置に起因すると思われる人工的電磁気ノイズの混入が認められる地点があることから,上田らのモデルの信頼性は高いとは言えない.そこで,大原測線上で,上田らの観測点を補完するよう11点の観測点を設け,AMT観測を行った.また,データ解析にRemote reference法(Gamble et al.,1978)を用いるために,北端の観測点から約8km北に離れた人工ノイズが少ない地点に磁場参照点を設けた.
電場,磁場のそれぞれ水平2成分から,Remote reference法に基づいて,10,400~0.35HzのMT応答関数を算出した.モデル計算に先立ち,Phase tensor法 (Caldwell et al., 2004 ; Bibby et al., 2005) を用いて,比抵抗構造の次元と走向を求めた結果,2次元構造であり比抵抗構造の走向はN45ºW-S45ºEと求まった.そして,Akaike's Bayesian Information Criterion (ABIC) による平滑化拘束付き2次元比抵抗インバージョンコード (Ogawa and Uchida, 1996) を用いて,深さ2km付近までの2次元比抵抗モデル(OHRモデル)を求めた.
OHRモデルは,1つの高比抵抗領域(R1)と4つの低比抵抗領域(C1~C4)で特徴づけられる.領域C1は大原断層地表トレース直下の地下浅部に,領域C2は地表トレース北東側の地下約1kmに,C3は地表トレース南西側の地下約1.5kmに位置する.
主部北西部では,大原断層と土万断層が併走する部分を横切る測線に沿う2次元比抵抗モデル(OHJモデル;上田,2011)と,土万断層を横切る測線を横切る測線に沿う2次元比抵抗モデル(HJMモデル;Yamaguchi et al.,2010)が示されている.これらと本研究のOHRモデルで得られてモデルを比較すると,次の3つの特徴が認められた.(1)3つのモデルに共通して,断層地表トレース直下もしくは,併走する地表トレースに挟まれた領域の地下浅部には,顕著な低比抵抗領域が存在する.(2) 3つのモデルに共通して,断層地表トレース南西側の深さ1km付近を上面とする低比抵抗領域が存在する,(3)大原断層を横切る2つのモデルには,断層地表トレース北東側の深さ0.5~1.0km付近に低比抵抗領域が存在する.
本発表では,OHRモデルの解釈および山崎断層系主部北西部大原断層から土万断層に至る領域域の地下比抵抗構造について発表する
山崎断層帯主部では,断層セグメント個々の地下構造やそれらが互いにどのように連続しているかを明らかにすることを目的として,Audio-frequency Magnetotelluric(AMT)法探査が展開されている(e.g. Yamaguchi et al., 2010).ここでAMT法とは,地磁気地電流法の一種で,比較的高い周波数(数Hz~約10kHz )の電磁場変動を信号源とし,地下浅部を高い空間分解能で描出できる手法である.
山崎断層帯主部の北西端に位置する大原断層では,上田ら(2009;2011)が,長さ約10kmの測線(大原測線と呼ぶ)上の7点でAMT観測を行い,深さ2km付近までの2次元比抵抗構造モデルを求めている.しかし,観測点間隔が広いこと,さらに,観測データに測定装置に起因すると思われる人工的電磁気ノイズの混入が認められる地点があることから,上田らのモデルの信頼性は高いとは言えない.そこで,大原測線上で,上田らの観測点を補完するよう11点の観測点を設け,AMT観測を行った.また,データ解析にRemote reference法(Gamble et al.,1978)を用いるために,北端の観測点から約8km北に離れた人工ノイズが少ない地点に磁場参照点を設けた.
電場,磁場のそれぞれ水平2成分から,Remote reference法に基づいて,10,400~0.35HzのMT応答関数を算出した.モデル計算に先立ち,Phase tensor法 (Caldwell et al., 2004 ; Bibby et al., 2005) を用いて,比抵抗構造の次元と走向を求めた結果,2次元構造であり比抵抗構造の走向はN45ºW-S45ºEと求まった.そして,Akaike's Bayesian Information Criterion (ABIC) による平滑化拘束付き2次元比抵抗インバージョンコード (Ogawa and Uchida, 1996) を用いて,深さ2km付近までの2次元比抵抗モデル(OHRモデル)を求めた.
OHRモデルは,1つの高比抵抗領域(R1)と4つの低比抵抗領域(C1~C4)で特徴づけられる.領域C1は大原断層地表トレース直下の地下浅部に,領域C2は地表トレース北東側の地下約1kmに,C3は地表トレース南西側の地下約1.5kmに位置する.
主部北西部では,大原断層と土万断層が併走する部分を横切る測線に沿う2次元比抵抗モデル(OHJモデル;上田,2011)と,土万断層を横切る測線を横切る測線に沿う2次元比抵抗モデル(HJMモデル;Yamaguchi et al.,2010)が示されている.これらと本研究のOHRモデルで得られてモデルを比較すると,次の3つの特徴が認められた.(1)3つのモデルに共通して,断層地表トレース直下もしくは,併走する地表トレースに挟まれた領域の地下浅部には,顕著な低比抵抗領域が存在する.(2) 3つのモデルに共通して,断層地表トレース南西側の深さ1km付近を上面とする低比抵抗領域が存在する,(3)大原断層を横切る2つのモデルには,断層地表トレース北東側の深さ0.5~1.0km付近に低比抵抗領域が存在する.
本発表では,OHRモデルの解釈および山崎断層系主部北西部大原断層から土万断層に至る領域域の地下比抵抗構造について発表する