10:45 〜 11:00
[SEM19-06] 主成分分析を用いたMT探査データ逆解析の信頼度推定
キーワード:MT法、主成分分析、2Dインバージョン
電磁探査法の一種である Magnetotelluric (MT)法は,資源探査や活断層調査に用いられている.地下の比抵抗構造を推定する際には,MT法によって求められた見掛比抵抗・位相などに対して逆解析(インバージョン)を行うことが一般的である.推定された比抵抗モデルは,測定時のノイズや,インバージョンを行う上での諸制約のために,真の比抵抗構造とは異なる近似解と言える.従って比抵抗モデルの信頼性の議論は必要不可欠である.従来の研究では,比抵抗モデルの一部分を変更した時に見掛比抵抗や位相にどの程度の変化が生じるかを計算して,比抵抗モデルの妥当性について検証がなされてきた.しかしながら,この検証方法は定性的かつ主観的なものであり,検証の範囲が適切でないという問題がある.本研究ではこのような課題を解決するべく,比抵抗モデルの定量的かつ客観的な信頼度推定法を開発した.
信頼度推定を行う上で,膨大なモデルパラメータのすべてを評価するのは計算時間の制約上不可能であるが,比抵抗モデル中の特徴的な比抵抗異常体について評価することは可能である.そこで本研究では,空間データ中の主要な構造を抽出する際に用いられる主成分分析に着目し,比抵抗異常体の情報の客観的抽出を試みた.具体的には,まず2次元比抵抗モデルを複数の1次元(柱状)比抵抗モデルへ分割し,これらの柱状モデルに対して主成分分析を行う.得られた主成分には横方向に共通する比抵抗構造が表れると考えられる.さらに各主成分得点を段階的に変化させることで,主な比抵抗異常体を移動,拡大縮小,また比抵抗の値の増減を行い,30種類の新たな比抵抗モデルの作成を試みた.新たなモデルから得られる計算値と観測値の残差二乗和の比較に基づいて,比抵抗モデルの変化幅の許容範囲を評価し,信頼度の推定を行った.
本手法の妥当性を検討するため,仮想的なモデル上での合成データ(TEモードの見掛比抵抗・位相)に対してインバージョンを行い,得られた比抵抗モデルの信頼度推定を行った.例えば高比抵抗体と低比抵抗体の2つの異常体が存在するモデルに対し主成分分析を行ったところ,第一主成分に2つの異常体が強く表れることが明らかとなった.次に,第一主成分の主成分得点を変化させて新たな比抵抗モデルを作成した.鉛直・水平方向にモデルを変化させ,各方向に対する信頼度評価においては,低・高比抵抗体の水平・上下位置,幅,比抵抗の値についての信頼度を可視化できた.得られた信頼度は,従来から指摘されているMT法(TEモード)のインバージョン結果の傾向と一致することが分かった.
さらに,より複雑なモデルに対しても主成分分析および比抵抗モデル改変を行った.その結果,複雑なモデルに対しても異常体が検出されており,また信頼度の評価も可能であった.今後は信頼度推定の範囲を拡大するなど,手法の改良を行い,実データへの適用を行う予定である.
信頼度推定を行う上で,膨大なモデルパラメータのすべてを評価するのは計算時間の制約上不可能であるが,比抵抗モデル中の特徴的な比抵抗異常体について評価することは可能である.そこで本研究では,空間データ中の主要な構造を抽出する際に用いられる主成分分析に着目し,比抵抗異常体の情報の客観的抽出を試みた.具体的には,まず2次元比抵抗モデルを複数の1次元(柱状)比抵抗モデルへ分割し,これらの柱状モデルに対して主成分分析を行う.得られた主成分には横方向に共通する比抵抗構造が表れると考えられる.さらに各主成分得点を段階的に変化させることで,主な比抵抗異常体を移動,拡大縮小,また比抵抗の値の増減を行い,30種類の新たな比抵抗モデルの作成を試みた.新たなモデルから得られる計算値と観測値の残差二乗和の比較に基づいて,比抵抗モデルの変化幅の許容範囲を評価し,信頼度の推定を行った.
本手法の妥当性を検討するため,仮想的なモデル上での合成データ(TEモードの見掛比抵抗・位相)に対してインバージョンを行い,得られた比抵抗モデルの信頼度推定を行った.例えば高比抵抗体と低比抵抗体の2つの異常体が存在するモデルに対し主成分分析を行ったところ,第一主成分に2つの異常体が強く表れることが明らかとなった.次に,第一主成分の主成分得点を変化させて新たな比抵抗モデルを作成した.鉛直・水平方向にモデルを変化させ,各方向に対する信頼度評価においては,低・高比抵抗体の水平・上下位置,幅,比抵抗の値についての信頼度を可視化できた.得られた信頼度は,従来から指摘されているMT法(TEモード)のインバージョン結果の傾向と一致することが分かった.
さらに,より複雑なモデルに対しても主成分分析および比抵抗モデル改変を行った.その結果,複雑なモデルに対しても異常体が検出されており,また信頼度の評価も可能であった.今後は信頼度推定の範囲を拡大するなど,手法の改良を行い,実データへの適用を行う予定である.