JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM20] [JJ] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

2017年5月20日(土) 09:00 〜 10:30 A03 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:菅沼 悠介(国立極地研究所)、山本 裕二(高知大学 海洋コア総合研究センター)、畠山 唯達(岡山理科大学情報処理センター)、座長:畠山 唯達(岡山理科大学情報処理センター)

09:15 〜 09:30

[SEM20-02] 日本列島の観音開き運動の再考-古地磁気データとGPSデータの比較

*原田 靖1 (1.東海大学 海洋学部 海洋地球科学科)

キーワード:GPSデータ、古地磁気データ、日本列島の観音開き運動

JpGU 2016において、勝間田らは南米大陸の古地磁気の回転角データとGPSデータの変動方向を過去に外挿し白亜紀から現在までの地殻変動による回転角を計算して両者を定量的に比較したところ、正の相関が得られた。古地磁気データの時間スケールは数千万年、GPSは数十年なので10の6乗も異なるデータを比較して正の相関が存在することから、GPSのデータには数千万年スケールの地殻変動を含んでいると強く示唆された。

本公演では、上と同じ手法を用いて日本列島の逆観音開き運動(Otofuji et al., 1985)に対して行った。尚この研究は丹羽、山岡, 2017(東海大学海洋学部2016年度卒業論文)の結果である。本研究で使った古地磁気データは、東北日本においては、Yamazaki, 1988、西南日本においては、Hoshi et al., 2015であり、GPSデータはIGSが管理する国際GNSSデータと国土地理院のF3解を使用した。GPSデータには地震活動に伴う変動をなるべく含まない様に観測点数を厳選して出来るだけ20年程度の観測期間中に運動方向が定常になっている観測点を選んだ。古地磁気データからは、観測点から見た見かけの磁北極の位置からその場所の回転角をデータを用い、GPSから求まる1年あたりの回転量を面的に過去に外挿入して両回転角を各古地磁気観測点毎に直接比較した。図の横軸がGPSから推定されるそれぞれの回転角、縦軸が古地磁気の回転角である。赤点が東北日本の点、青点が西南日本の古地磁気観測データである。両者は大まかに第1、第3象限にまとまり、日本の場合についても南米大陸の結果と同じくGPSデータに約2千5百万年間の長期成分が含まれていることが強く示唆される。日本列島の逆観音開き運動は、約10Maに止まっている(高橋、安藤,2016)という考え方があるが、本研究の結果からこの運動は現在も継続中であると結論付けられる。