JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM20] [JJ] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

2017年5月20日(土) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:菅沼 悠介(国立極地研究所)、山本 裕二(高知大学 海洋コア総合研究センター)、畠山 唯達(岡山理科大学情報処理センター)

[SEM20-P01] 数値ダイナモモデルにおけるジャーク様磁場変動検出の試み:序報

*眞鍋 佳幹1高橋 太2 (1.九州大学 大学院理学府 地球惑星科学科専攻、2.九州大学 大学院理学研究院 地球惑星科学部門)

キーワード:地磁気ジャーク、ダイナモ、数値シミュレーション

地球磁場は地球ダイナモ作用によって生成・維持されている.その地球磁場の変動のうち,1年以上の周期の変動を地磁気永年変化といい,地球磁場の1階時間微分として表現される.地磁気永年変化が数年間程度の時間スケールにおいて,時折,急激な変動(V字型の変動)を示すことがあり,この現象は地磁気ジャークとして知られている.地磁気ジャークの発生メカニズムについてはいまだに解明されていない点が多く存在するが,Malin and Hodder (1982)によって地磁気ジャークは内部起源であると示されている.その後に,球面調和解析とウェーブレット解析を用いることで,地磁気ジャークは内部に起源を持つ現象であることが結論付けられた (Alexandrescu et al. 1995; Le Huy et al. 1998; Bloxham et al. 2002 ).したがって,地磁気ジャークの発生メカニズムは地球ダイナモに成因があると考えられている.
本研究において,我々は数値ダイナモモデルで地磁気ジャークに類する磁場変動が再現されているか否かの検証を行った.ダイナモモデルに用いたエクマン数は3x10^{-5}である.これは最新の値ではないが,比較的低い値であり,今回のような予察的な研究には適していると考えられる.解析にはコア-マントル境界上での磁場の動径成分を用いた.その際,球面調和関数展開で12次までの係数を採用する.時間微分の評価には二次の中心差分を用いて,各時間ステップ毎に全球的に磁場の1階時間微分と2階時間微分を計算した.ジャークの発生時には磁場の2階時間微分が階段状の変動を示すので,磁場の2階時間微分の差(ジャーク振幅)をとることで,ジャークが発生していると考えられる場所を検出した.その結果,ある地点における磁場の1階時間微分の時系列に地磁気ジャークに類すると思われる変動が見られた.しかしながら,2階時間微分ではそのような明らかな変動は確認できなかった.本研究の結果はジャークの様な磁場変動が数値ダイナモモデルで初めて検出された可能性を示唆するものである.しかしながら,より詳細な解析による検討が必要であることも,同時に確認された.