JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM20] [JJ] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

2017年5月20日(土) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:菅沼 悠介(国立極地研究所)、山本 裕二(高知大学 海洋コア総合研究センター)、畠山 唯達(岡山理科大学情報処理センター)

[SEM20-P02] エチオピア・アファール凹地、プレート拡大軸での磁気異常探査

*石川 尚人1吉村 令慧2Tesfaye Kidane3望月 伸竜4加々島 慎一5小木曽 哲1東野 伸一郎6乙藤 洋一郎7 (1.京都大学大学院人間・環境学研究科、2.京都大学防災研究所、3.アジスアベバ大学、4.熊本大学、5.山形大学、6.九州大学、7.NPO法人地球年代学ネットワーク)

キーワード:プレート拡大境界、海洋底拡大軸、アファール凹地、磁気異常探査

そのほとんどが海洋下で起こっているプレート拡大境界での海洋底の地磁気縞状異常の獲得形成過程を、我々が直接的に探査することは難しい。そこで、陸上において海洋底拡大現象が進行しつつあるエチオピア・アファール凹地を対象にして、海洋地磁気縞状異常の獲得形成過程を探る目的で、磁気探査を主とする地球電磁気学的探査を立案し、予察的な調査研究を進めている。今回は、その計画とこれまでに行った調査について紹介する。

エチオピア・アファール凹地は、ヌービアプレート・アラビアプレート・ソマリアプレートの拡大プレート三重会合点にある。そこは大陸リフティングから進行して、現在海洋底拡大現象の開始時期の段階にあり、中央海嶺が陸上に露出していると考えられている。特に、Dabbahu火山周辺域(Dabbahu Rift)では、2005-09年にかけて、活発な地震活動と正断層系の形成があり、一部に溶岩の噴出が見られた。 GPS/地震観測のデータ解析により、長さ10〜60km、幅1〜3mの局所的な伸長(岩脈貫入)が繰り返され(13〜14回)、総計として巾8m、長さ60km、深さ2〜10kmの範囲で岩脈の貫入があったと推定されている。よってこの地域は、海洋底拡大軸域での磁気異常の獲得形成過程を探るための絶好のフィールドであると言えよう。
そこで我々はアファール凹地・Dabbahu Riftを対象にして、無人小型飛行機を活用した航空探査と、地形的制約で地域は限定されるものの試料採取を伴う直接的な地上調査を行うことを計画している。航空探査では、低飛行高度での広域で詳細な空中磁気探査を行う。地上探査では、地上磁気探査、MT探査、地表溶岩流の地質調査と試料採取を行う。空中・地上磁気探査から詳細な磁気異常マップを構築し、MT探査結果とあわせて、地下構造を地球電磁気学的視点(磁化、比抵抗)から明らかにし、採取岩石の古地磁気・岩石磁気学的解析からの情報も加味して、Dabbahu Riftでの磁気異常の分布と構造、その形成過程を明らかにすることを目論んでいる。

2014年に現地視察、予察的な磁気探査、古地磁気試料採取(4地点26個)を行い、現在はJSPSオープンパートナーシップ共同研究(2016-17年度)により地上探査に焦点を絞った研究を進めている。2016年12月には、岩脈貫入推定部の南方地域に測線を設定し、4日間で約57kmの徒歩による磁気探査を行った。その際のリファレンスポイントとして、Samara大学に定点観測地点を設置し、地磁気連続観測も行った。また、15地点で古地磁気試料(39個)、9地点で岩石試料(24個)の採取を行った。今回は、計画の概要と2016年調査の予察的な結果を報告する。