[SGD01-P09] 石岡測地観測局における絶対重力計の国内比較観測の実施及び日本重力基準網2016(JGSN2016)の構築
キーワード:日本重力基準網2016、絶対重力観測、絶対重力計国内比較観測
国土地理院は,国際標準に整合した絶対重力値を取得するため,我々及び国内関係機関が有するFG5絶対重力計と,国際度量衡局(BIPM)の後援による国際比較観測に参加している産業技術総合研究所が所有する同機器との間でキャリブレーションを目的とした比較観測を実施している.この国内比較観測は2002年から2015年まで毎年1回国民宿舎「つくばね荘」(茨城県石岡市)にて実施されてきたが,より良い環境で高精度な比較観測を実現するため,2016年からは新たに開設された国土地理院石岡測地観測局(同市.以下,「石岡局」という.)の重力測定室で実施することとした.
石岡局の重力測定室は、建物と絶縁された基台を有し,複数のコンクリートパイルで支持層と堅固に結合されている.また,市街地から5kmほど離れているため経済活動による人工的なノイズも比較的小さい.比較観測は同時に6台可能で,建物が完成する以前にGNSS測量及び水準測量を実施し,測点の位置情報を高精度に決定している.さらに,石岡局のVLBI観測施設から水素メーザの信号を分配し,比較する絶対重力計に統一した周波数信号を用いることで時計の誤差を最小限にする方法も試みた.その結果,参加した全ての絶対重力計で器差の範囲内で十分に整合する結果が得られた.
これまで国内では、国土地理院が1976年に公開した「日本重力基準網1975(JGSN75)」が重力の基準として使用されてきた。構築から40年以上が経過し、地殻変動の影響や重力値の測定精度の向上等により、JGSN75が与える重力基準と実際の重力値の乖離が大きくなったことから、国土地理院では,2017年3月に新しい日本重力基準網2016(JGSN2016)を公開した。JGSN2016では,2002年から2016年までに実施した最新の絶対および相対重力測定のデータを使用しているが、国内比較観測で国際標準との整合が確認された絶対重力計を用いて絶対重力値を測定することで、世界標準と整合した高精度で信頼性の高い重力網が実現されている.
本講演では,これまでの国内比較観測の結果とともに,JGSN2016構築に果たした役割について報告する.
石岡局の重力測定室は、建物と絶縁された基台を有し,複数のコンクリートパイルで支持層と堅固に結合されている.また,市街地から5kmほど離れているため経済活動による人工的なノイズも比較的小さい.比較観測は同時に6台可能で,建物が完成する以前にGNSS測量及び水準測量を実施し,測点の位置情報を高精度に決定している.さらに,石岡局のVLBI観測施設から水素メーザの信号を分配し,比較する絶対重力計に統一した周波数信号を用いることで時計の誤差を最小限にする方法も試みた.その結果,参加した全ての絶対重力計で器差の範囲内で十分に整合する結果が得られた.
これまで国内では、国土地理院が1976年に公開した「日本重力基準網1975(JGSN75)」が重力の基準として使用されてきた。構築から40年以上が経過し、地殻変動の影響や重力値の測定精度の向上等により、JGSN75が与える重力基準と実際の重力値の乖離が大きくなったことから、国土地理院では,2017年3月に新しい日本重力基準網2016(JGSN2016)を公開した。JGSN2016では,2002年から2016年までに実施した最新の絶対および相対重力測定のデータを使用しているが、国内比較観測で国際標準との整合が確認された絶対重力計を用いて絶対重力値を測定することで、世界標準と整合した高精度で信頼性の高い重力網が実現されている.
本講演では,これまでの国内比較観測の結果とともに,JGSN2016構築に果たした役割について報告する.