JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD02] [EJ] 重力・ジオイド

2017年5月24日(水) 09:00 〜 10:30 A05 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:山本 圭香(国立天文台)、宮崎 隆幸(国土交通省国土地理院)、座長:宮崎 隆幸(国土交通省国土地理院)、座長:田中 俊行(公益財団法人地震予知総合研究振興会東濃地震科学研究所)

09:00 〜 09:15

[SGD02-01] 2004年スマトラ-アンダマン地震に伴う重力変化と静的な重力異常の形成

*田中 優作1日置 幸介1 (1.北海道大学大学院理学院)

キーワード:地震時重力変化、地震後重力変化、地震間重力変化、人工衛星GRACE、2004年スマトラ地震、地震サイクル

2002年の重力衛星GRACE打ち上げ以降,Mw9以上の地震としては2004年スマトラーアンダマン地震(Mw9.1-9.3)が最大にして最古である.この地震が引き起こした地震時と地震後の重力変化について2003年1月から現在までのGRACE衛星のデータで時系列解析を行なった所,既に地震後重力変化が完了しつつある事が見出された.そこで地震時の重力変化と地震後の重力変化を足し合わせた所,地球重力場は地震前の状態には戻らず,地震前とは違った新しい地球重力場の姿が形成されていた.これは一つの地震が地球の静的な重力場を,地震前と比べて「最終的に」(つまり地震時変化と地震後変化の総和として)どう変化させたのかを二次元的に観測した第一の成果である.

また,地震に伴う重力変化の結果として地球重力場が地震前の状態に戻らない事は,地震に伴う重力変化が静的な重力異常を形成する過程の一部であることを示唆している.地震間・地震時・地震後というサイクルの中で重力変化が繰り返されながら静的な重力場が形成されている事を考えれば,静的な重力異常の知見と,今回の地震時・地震後重力変化の観測例を合わせる事で,地震間の重力変化についての考察が可能となるかもしれない.