JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD03] [EJ] 測地学一般

2017年5月25日(木) 10:45 〜 12:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:風間 卓仁(京都大学理学研究科)、松尾 功二(国土地理院)

[SGD03-P04] ITRF2014基準座標系とIGS14アンテナ位相特性によるGEONET観測網の解析

*島田 誠一1 (1.東京大学大学院新領域創成科学研究科 株式会社日豊)

キーワード:ITRF2014、IGS14 PCVモデル、GEONET

2016年秋の測地学会において著者は,ITRF2014座標系において日本周辺のIGS観測点の座標系がどのように表現され,ITRF2008座標系からどのように変更されたのかについて,ITRF2014座標系によるGEONET観測点のpreliminaryな解析結果とともに紹介した.
一方,IGSは2017年1月29日(1934GPS週)から,基準座標系をITRF2008からITRF2014座標系に切り替える(IGSMAIL-7399).正確にはITRF2014座標系に基づいたIGS14という独自の座標系を採用する.また同時に,受信機及び衛星のアンテナ位相特性をIGS08からIGS14に切り替える.
今回の変更により,主に衛星アンテナの位相中心の変更により,0.4ppb程度のスケール変化が生じる.また,多くの受信機アンテナのキャリブレーションをやり直したことによる位相中心の変更から,上下成分で10mm,水平成分で5mm程度の座標値解のオフセットが生じるといわれている(King,私信).
IGSはかつて,2011年4月11日(1632GPS週)から基準座標系をITRF2005からITRF2008に切り替えたときにも,受信機及び衛星のアンテナ位相特性をIGS05からIGS08へと切り替えた.このときにも,主にアンテナ位相中心の違いによって,約1ppbのスケール変化とともに,座標値解に上下成分で3mm,水平成分で1.2mm程度のオフセットが生じた(IGSMAIL-6354).一方,GAMIT/GLOBKプログラムによる関東・東海地域のGEONET観測点の解析では,2ppb程度のスケール変化と,上下成分で2mm,水平成分で3mm程度の座標値解のオフセットが生じた(島田,2011,2012).グローバルネットワークの解析とGEONET観測網の解析とで結果が異なるのは,GEONET観測点が独自のレドームを採用しているために,アンテナ位相特性は国土地理院が独自に試験観測結果から求めたものであるうえに、国土地理院はIGS05位相特性しか求めていないので,著者が独自に,国土地理院が求めたIGS05位相特性とIGSが求めているIGS05位相特性とIGS08位相特性との差から,簡便にGEONET観測点のIGS08位相特性を推定して用いている影響があると考えられる.
本研究では,IGS14への切り替えが行われる2017年1月29日前後各4週間のGEONET観測点の解析から,GEONET観測点の座標値解のスケール変化及びオフセットを明らかにする.