[SGL35-P02] 野島断層トレンチ破砕部の石英ルミネッセンス測定
キーワード:ルミネッセンス年代測定、石英、活断層
1.はじめに
1995年1月17日の兵庫県南部地震では、六甲・淡路島断層帯の一部である淡路島西岸の野島断層で断層の南東側が北西側に比べ最大1.4m隆起し、南西の方向へ最大2.1mのずれが生じた。本研究では、野島断層を対象とした2015年のトレンチ調査から得た破砕部の石英試料を用いて、断層活動によるルミネッセンスシグナルへの影響と蓄積線量を調査した。
2.ルミネッセンス測定
ルミネッセンス法には、熱ルミネッセンス (TL) 法、光励起ルミネッセンス (OSL)法などが知られている。本研究では、花崗岩由来の石英試料を年代測定する際に用いる青色熱ルミネッセンス(BTL)法と、OSL法と同じ発光波長を用いる紫外線領域熱ルミネッセンス(UV-TL)法を用いた。これらのシグナルは、加熱や光曝により蓄積シグナルがリセットされる特性を持つ(小畑ほか, 2015)。シグナルリセットに必要な温度・時間条件を考える際には、ある温度におけるシグナルの減衰に必要な時間の指標として平均寿命τ値を算出する。この温度・時間条件はESR法やK-Ar法と比較して非常に低温、短時間であることから断層の最終活動時期を特定することができる可能性を持っている(鴈澤ほか, 2013)。
3.TLシグナルのピーク温度
六甲花崗岩類の母岩試料(Host rock)と破砕部から5m程度離れた位置から採取した花崗岩試料(E1)を用いて、TLシグナルのピーク温度を決定するために、10℃刻みのT-Tmax法を用いた測定を行った。実験結果はBTL、UV-TLでほぼ同様となり、ピーク温度は200℃、270℃、320℃付近と確定した。
4.花崗岩類のルミネッセンス発光曲線
Host rock試料、E1試料、破砕部に近接するトレンチ内部の花崗岩由来の試料(S1〜S6)および断層ガウジ(Gouge)試料から石英のみを分離し、TL測定を行いそれぞれの発光曲線を得た。それぞれの発光形状、発光強度ともに差異が見られた。
また、それぞれの試料にx線を段階的に照射して得た発光シグナルのピーク分離を行い求めた線量に対するピーク成長率を求めた。ピーク成長率に関しても、規則性は見られないという結果となった。
5.トレンチ試料の蓄積線量
各試料の蓄積線量(Gy)を、発光シグナルのピーク分離を行い算出した。いずれの試料においても各温度ピークによって異なった蓄積線量値となり、200℃ピークの蓄積線量の値が最小値を示した。
1995年1月17日の兵庫県南部地震では、六甲・淡路島断層帯の一部である淡路島西岸の野島断層で断層の南東側が北西側に比べ最大1.4m隆起し、南西の方向へ最大2.1mのずれが生じた。本研究では、野島断層を対象とした2015年のトレンチ調査から得た破砕部の石英試料を用いて、断層活動によるルミネッセンスシグナルへの影響と蓄積線量を調査した。
2.ルミネッセンス測定
ルミネッセンス法には、熱ルミネッセンス (TL) 法、光励起ルミネッセンス (OSL)法などが知られている。本研究では、花崗岩由来の石英試料を年代測定する際に用いる青色熱ルミネッセンス(BTL)法と、OSL法と同じ発光波長を用いる紫外線領域熱ルミネッセンス(UV-TL)法を用いた。これらのシグナルは、加熱や光曝により蓄積シグナルがリセットされる特性を持つ(小畑ほか, 2015)。シグナルリセットに必要な温度・時間条件を考える際には、ある温度におけるシグナルの減衰に必要な時間の指標として平均寿命τ値を算出する。この温度・時間条件はESR法やK-Ar法と比較して非常に低温、短時間であることから断層の最終活動時期を特定することができる可能性を持っている(鴈澤ほか, 2013)。
3.TLシグナルのピーク温度
六甲花崗岩類の母岩試料(Host rock)と破砕部から5m程度離れた位置から採取した花崗岩試料(E1)を用いて、TLシグナルのピーク温度を決定するために、10℃刻みのT-Tmax法を用いた測定を行った。実験結果はBTL、UV-TLでほぼ同様となり、ピーク温度は200℃、270℃、320℃付近と確定した。
4.花崗岩類のルミネッセンス発光曲線
Host rock試料、E1試料、破砕部に近接するトレンチ内部の花崗岩由来の試料(S1〜S6)および断層ガウジ(Gouge)試料から石英のみを分離し、TL測定を行いそれぞれの発光曲線を得た。それぞれの発光形状、発光強度ともに差異が見られた。
また、それぞれの試料にx線を段階的に照射して得た発光シグナルのピーク分離を行い求めた線量に対するピーク成長率を求めた。ピーク成長率に関しても、規則性は見られないという結果となった。
5.トレンチ試料の蓄積線量
各試料の蓄積線量(Gy)を、発光シグナルのピーク分離を行い算出した。いずれの試料においても各温度ピークによって異なった蓄積線量値となり、200℃ピークの蓄積線量の値が最小値を示した。