[SGL38-P02] 本州沖の黒潮流域におけるブリュンヌ-マツヤマ逆転境界近傍の浮遊性有孔虫群集変動と古海洋
キーワード:浮遊性有孔虫、古海洋、更新世、MIS19
本研究は,ブリュンヌ-マツヤマ逆転境界(MBB)周辺における浮遊性有孔虫群集の変動を詳細に明らかにし,それにより古海洋の復元を試みた.千葉県市原市田淵のチバセクションには海成更新統の上総層群国本層が露出し,更新世前期-中期境界のGSSPの候補地として注目されており,詳細な層序学的研究が実施されている.私たちはチバセクションの近傍で掘削されたコアTB2の浮遊性有孔虫群集解析を実施し(紫谷ほか,2016JpGU),MBBの上位, MIS19の中部(約0.77Ma)においてGloboconella inflataをはじめとする暖流種の急増があったことを明らかにした.このことから,私たちはこの層準で本研究地域を黒潮前線が通過したと結論付けた.しかしながら,房総半島では上総層群堆積中に嶺岡帯が隆起したことが知られており,また国本層-柿の木台層堆積中に急激に浅海化したことから,テクトニックな要因により局所的に水塊の影響が変化した可能性も指摘される.そこで,本研究ではより空間的な海洋環境の復元を目的として,MBB近傍の層準が良好に回収されているIODP Site C0001 Hole Eのコア試料で浮遊性有孔虫群集解析を実施し,TB2コアの結果と比較した.
Site C0001周辺の現在の海洋状況は,黒潮の流軸のすぐ北側に位置し,恒常的に冷水渦が発生する場所であり,黒潮の変動を調べるうえで重要な地点である.分析に用いた試料はコア6H-2から5H-6の合計47試料で,層序間隔は10㎝毎(約1.7ka)である.浮遊性有孔虫の同定の結果,C0001コアにおいてもMIS19の上部でG. inflataの特徴的な増加パターンが認められた.大きなピークは2つ見られ,その変動パターンがコアTB2と類似する.現時点で採用している年代モデルに基づくと,TB2コアよりも遅れてピークが出現している可能性が指摘される.
Site C0001周辺の現在の海洋状況は,黒潮の流軸のすぐ北側に位置し,恒常的に冷水渦が発生する場所であり,黒潮の変動を調べるうえで重要な地点である.分析に用いた試料はコア6H-2から5H-6の合計47試料で,層序間隔は10㎝毎(約1.7ka)である.浮遊性有孔虫の同定の結果,C0001コアにおいてもMIS19の上部でG. inflataの特徴的な増加パターンが認められた.大きなピークは2つ見られ,その変動パターンがコアTB2と類似する.現時点で採用している年代モデルに基づくと,TB2コアよりも遅れてピークが出現している可能性が指摘される.