JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT22] [EE] 核-マントルの相互作用と共進化

2017年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:土屋 卓久(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、寺崎 英紀(大阪大学大学院理学研究科)、Satish-Kumar Madhusoodhan(Department of Geology, Faculty of Science, Niigata University)、入舩 徹男(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、Hernlund John(Earth-Life Science Institute, Tokyo Institute of Technology)、大谷 栄治(東北大学大学院理学研究科地学専攻)

[SIT22-P10] Current Status of Development for Geo-Neutrino Directional Measurement

*白旗 豊1 (1.東北大学 ニュートリノ科学研究センター)

キーワード:neutrino, Liquid scintillator

ニュートリノは素粒子の一種であり、近年その性質がよく知られてきている。液体シンチレータ検出器は低エネルギー反ニュートリノに感度がある反面、水チェンレンコフ検出器のように、反ニュートリノの到来方向に感度はない。液体シンチレータ検出器が反ニュートリノの到来方向に感度を持った場合、地球内部の放射性物質の分布測定の更なる高精度化や原子炉の運転状況に依存しない高精度データを得ることが出来るようになる。また、小型検出器を作成した場合は、原子炉モニターに応用することも出来る。本研究では小型検出器による反ニュートリノの到来方向測定を第一目標として研究を進めている。
 反ニュートリノは逆ベータ崩壊反応により放出される陽電子と中性子が陽子により捕獲された際に放出される2.2 MeVのガンマ線を測定することによって検出される。これは遅延同時計測法と呼ばれ、この測定手法によりバックグラウンドを大幅に抑制することが出来ている。この時放出される中性子は反ニュートリノの到来方向情報を保持しているが、現状の液体シンチレータ検出器では陽子の中性子捕獲断面積が小さいため、液体シンチレータ内で中性子が長距離飛行してしまうのに加え、陽子が中性子を捕獲した際、液体シンチレータ内を長距離飛行するガンマ線を放出するため、中性子の捕獲点を精度よく特定することが出来ない。これにより、反ニュートリノの到来方向の情報は失われてしまう。このような問題点を改善するため、従来の液体シンチレータに、中性子捕獲断面積が940 barnと、陽子の0.3 barnよりもはるかに大きい6Liを導入した。6Liは中性子を捕獲した際、即座に発光するアルファ線と3Hを放出するため捕獲点を精度良く決めることが出来る。上記のような理由で、反ニュートリノの到来方向情報が失われる前に中性子を捕獲することが出来、陽電子の発光点と中性子の捕獲点をベクトルで結ぶことで反ニュートリノの到来方向を測定することが可能となる。
 また、これらの発光点を分離するために高位置分解能の検出器を開発する必要がある。高位置分解能の検出器として反射型光学系と多チャンネルの光検出器を使用する予定であり、現在のその開発・テストを行っている最中である。
 本発表では、反ニュートリの到来方向測定に向けたイメージング検出器の開発状況について報告を行う。