JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-RD 資源・鉱床・資源探査

[S-RD39] [JJ] 資源地質学

2017年5月25日(木) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:大竹 翼(北海道大学大学院工学研究院 環境循環システム部門)、野崎 達生(海洋研究開発機構海底資源研究開発センター)、実松 健造(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門 鉱物資源研究グループ)、高橋 亮平(秋田大学大学院国際資源学研究科)

[SRD39-P06] 秋田県北鹿地域におけるR2流紋岩の地質学的研究:黒鉱鉱床分布との関係

*野中 建太1山田 亮一1掛川 武1 (1.東北大学理学研究科地学専攻)

キーワード:北鹿地域、黒鉱層準上盤、後黒鉱期活動、珪長質火山岩類、熱水変質

1500万年間に形成された黒鉱鉱床は、熱水変質を被った火成岩などの上盤岩石に覆われ保存されてきている。上盤岩石の熱水変質分布と黒鉱鉱床の空間分布に関する研究は皆無である。上盤岩石の変質と黒鉱の分布が明らかになれば、現在の海底下に埋没した黒鉱鉱床の探査指針を与えるものとなり重要である。そこで本研究では秋田県北鹿地域の黒鉱鉱床上盤のR2流紋岩を対象とし、火山岩層序とそれらが被った熱水変質の産状を明らかにすること、後黒鉱期の海底火山活動と熱水活動域の分布、黒鉱鉱床との空間的関係に関して地質学的・岩石学的研究を行うことを目的とする。
深沢鉱山および餌釣鉱山近傍地域の野外調査を行った結果、この地域に分布するR2流紋岩岩体の内部構造が明らかになった。岩体内部には成層した3種の岩石が見出された。最下層岩石は、数十cm大の礫~細礫からなり、珪長質溶岩ドームの自破砕した外殻部と解釈した。細礫内部には石英や同一方向に伸びる不定形~レンズ形岩片を伴う流離構造が認められたが、全体的に粘土化が著しい。特に礫間の基質には約500 µm幅の石英脈が発達しており、自形黄鉄鉱が点在し、熱水変質が著しいゾーンと考えられる。この上位には、火山礫凝灰岩が存在した。緑色粘土化変質を受けた基質に材木状軽石礫や流紋岩質溶岩礫、玄武岩質溶岩礫を含む。材木状軽石は最大数cmの亜角礫であるが、一方で流紋岩質および玄武岩質溶岩礫は数十cm大の巨礫から細礫の亜角礫として存在していた。水中火砕流起源、あるいは再堆積性の火山砕屑岩であると考えられ、堆積後、熱水変質を被ったと考えられる。この火山砕屑岩は、角礫岩により貫かれていた。調査地域最上位層として変質の度合いの低い流紋岩質溶岩流が見出された。
一方、大茂内沢地域では、R2流紋岩岩体は複数のflow unitで構成され、少なくとも厚さ100m分の厚さに達する。個々のflow unitは塊状相とその上部に発達する板状節理からなる。flow unit内部は数cm幅のシリカ脈を伴うことが多いが、著しく変質した板状節理部にはセレドナイトなどの緑色鉱物が卓越する。以上の結果により、黒鉱鉱床近傍上盤では、硫化鉱物(黄鉄鉱)をともなう熱水変質を確認できた。これは、鉱床形成後の継続的な海底熱水活動の痕跡である可能性がある。その一方で黒鉱鉱床から離れた地域では、熱水変質は認められるが、溶岩噴出・流動時の海水との反応によるものであると考えられる。