[S-SS07] [EE] 地表地震断層の調査・分析・災害評価

[SSS07-04] 2時期レーザ計測データを用いた2016年熊本地震による阿蘇カルデラ周辺の地表変位の計測

*向山 栄¹、佐藤 匠¹、高見 智之¹ (1.国際航業株式会社)

キーワード：the 2016 Kumamoto Earthquake, Differential DEM Analysis, LiDAR, Image matching analysis

平成28年熊本地震に伴い，熊本県阿蘇地域では広域的地殻変動が観測された．本研究では阿蘇カルデラ地域の地表面変位を，航空レーザ計測地形データを用いた数値地形画像解析手法によって面的に計測した．その結果，阿蘇カルデラ内の北西側地域では，隆起傾向と共に北方向への水平変位が認められた．カルデラ内の南西側地域では，隆起傾向と共に南西方向への水平変位が認められた．また中央火口丘付近から西方のカルデラ縁にかけては，沈降傾向と共に西方への水平変位が認められた．さらに，カルデラ西端の立野付近においては，顕著な右横ずれの変位が認められると共に，カルデラ外輪山の山上に，東西方向の延長をもつホルストグラーベン状の地変が認められた．一方，阿蘇谷の低地では，傾斜方向に2～3m移動する長径短径1～2.5km程度の領域が局所的に認められた．
　阿蘇カルデラ西方に位置する布田川断層帯から断続する地表部の右横ずれを示す亀裂は，カルデラ内の黒川左岸河陽付近から北東方向約3㎞付近まで確認されている．本研究の解析結果から，地表面変位の向きが系統的に変化する幅広い境界が，さらにその北東側延長のカルデラ縁付近まで連続していることがわかった．