[SSS07-P10] Preliminary report of co-seismic surface rupture produced by the 28 December 2016 Hokubu-Ibaraki earthquake, northern Kanto region, Japan.
キーワード:coseismic surface rupture, InSAR, fault zone
2016年12月28日に茨城県北部を震源とする地震が発生した。震源の深さは約11 km、地震の規模を示すマグニチュードは6.3で、正断層型と推定されている(気象庁, 2016)。地震直後に公表されたInSARの解析画像によると、北西―南東方向に約2kmにわたって変位の不連続が認められ、西側の地盤が最大約27cm衛星から遠ざかる一方、東側の地盤は最大約6cm衛星に近づくような変動が検出された(国土地理院, 2016)。震源域では、東北地方太平洋沖地震直後から地震活動が活発化し、2011年3月19日にもMj6.1の正断層型の地震が発生している。筆者らは、2016年の地震による地表地震断層の出現の有無を確かめるため、地震直後に現地踏査を実施した。
踏査の結果、InSARの不連続線に沿って開口クラックが断続的に続くことが確認された。クラックは北端の持山集落(N36゜49′ 20 ", E140°36′ 36 ")から南に向かって小山ダム上流部の支流(N36°47′54", E140°37′45")の約3.4 kmに渡って出現していることが明らかとなった。持山集落から富岡集落にかけての区間では、持山川の右岸(南西側)斜面に連続性の良いクラックが出現しており、これらの出現位置は谷部で上流側に入り込み、尾根部で先端側に移動する。なお、持山集落では、2011年3月19日の地震の後にも、舗装道路を斜めに横断する南西低下の変形帯が生じており、その延長上の杉が傾斜していることから、地表地震断層が出現したと考えられている(青柳ほか,2015)。今回の地震では、この変形帯(亀裂の分布範囲、個々の亀裂幅)が明らかに拡大していることを確認した。また、断続的なクラックの南端付近で、クラックの直下に断層破砕帯が露出した。破砕帯は幅40cm程度の断層ガウジ帯を伴い、その断層ガウジ帯は少なくとも2枚の断層ガウジからなる層状構造を呈する。断層ガウジ帯に沿っては直線性に富む断層面(N6°W, 67°W)が認められ、崖錐堆積物を変形させていたことから、最新活動面であると思われる。最新活動面では条線(レイク角72°NNW)が認められ、そのセンスは今回の発震機構と調和的である。以上の調査結果を統合すると、今回出現した断続的なクラックは地表地震断層であると考えられる。
青柳恭平・大沼巧・奥智也・佐々木俊法, 2015, InSAR解析によって検出した小規模な地震断層の最大変位量と長さの関係. 断層変位評価に関するシンポジウム講演論文集,I-5,pp.31-38.
国土地理院, 2016, 茨城県北部の地震に関する情報. http://www.gsi.go.jp/BOUSAI/H28-ibaraki-earthquake-index.html.
気象庁, 2016, 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第80報)-平成28年12月28日21時38分頃の茨城県北部の地震-. http://www.jma.go.jp/jma/press/1612/28a/kaisetsu201612282345.pdf.
踏査の結果、InSARの不連続線に沿って開口クラックが断続的に続くことが確認された。クラックは北端の持山集落(N36゜49′ 20 ", E140°36′ 36 ")から南に向かって小山ダム上流部の支流(N36°47′54", E140°37′45")の約3.4 kmに渡って出現していることが明らかとなった。持山集落から富岡集落にかけての区間では、持山川の右岸(南西側)斜面に連続性の良いクラックが出現しており、これらの出現位置は谷部で上流側に入り込み、尾根部で先端側に移動する。なお、持山集落では、2011年3月19日の地震の後にも、舗装道路を斜めに横断する南西低下の変形帯が生じており、その延長上の杉が傾斜していることから、地表地震断層が出現したと考えられている(青柳ほか,2015)。今回の地震では、この変形帯(亀裂の分布範囲、個々の亀裂幅)が明らかに拡大していることを確認した。また、断続的なクラックの南端付近で、クラックの直下に断層破砕帯が露出した。破砕帯は幅40cm程度の断層ガウジ帯を伴い、その断層ガウジ帯は少なくとも2枚の断層ガウジからなる層状構造を呈する。断層ガウジ帯に沿っては直線性に富む断層面(N6°W, 67°W)が認められ、崖錐堆積物を変形させていたことから、最新活動面であると思われる。最新活動面では条線(レイク角72°NNW)が認められ、そのセンスは今回の発震機構と調和的である。以上の調査結果を統合すると、今回出現した断続的なクラックは地表地震断層であると考えられる。
青柳恭平・大沼巧・奥智也・佐々木俊法, 2015, InSAR解析によって検出した小規模な地震断層の最大変位量と長さの関係. 断層変位評価に関するシンポジウム講演論文集,I-5,pp.31-38.
国土地理院, 2016, 茨城県北部の地震に関する情報. http://www.gsi.go.jp/BOUSAI/H28-ibaraki-earthquake-index.html.
気象庁, 2016, 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第80報)-平成28年12月28日21時38分頃の茨城県北部の地震-. http://www.jma.go.jp/jma/press/1612/28a/kaisetsu201612282345.pdf.