JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS10] [EJ] 地殻変動

2017年5月22日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:道家 涼介(神奈川県温泉地学研究所)、落 唯史(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門)

[SSS10-P23] 氷河性海水準変動の地球物理モデルと地形・地質学的情報を組み合わせた長期の地殻上下変動量の復元について

*尾崎 達也1横山 祐典1Purcell Anthony2Lambeck Kurt2 (1.東京大学大気海洋研究所、2.オーストラリア国立大学 地球科学研究所)

キーワード:海水準変動、氷河性地殻均衡、海成段丘、地殻上下変動、最終間氷期、最終氷期最盛期

過去の海水準変動の復元は、長期の地殻上下変動量を定量する上で重要である。日本列島は変動帯に位置し、このデータは地殻の安定性を評価する上で重要である。これまで地質学的手法に基づいた多くの海水準復元研究がなされてきたが、氷河性および海水荷重による地殻均衡 (GIA)の効果については十分な検討は行われておらず、いくつかの研究例が存在するのみである(Nakada et al., 1991 Palaeo3; Yokoyama et al., 1996; Okuno et al., 2014 QSRなど)。そのため、これらの影響を考慮した地殻上下変動量の長期的かつ定量的な研究は十分ではない。地殻の長期的な安定性を考える上でも、1,000年を超える時間スケールでの考察は重要である。
本研究では、過去のジオイドを近似していると考えられる海水準に着目し、これまで発表された日本各地の100点以上の地形学的・地質学的海水準データのコンパイルを行った。またGIAの不確実度の原因である地球内部領域パラメータの範囲を再検討し、海水準変動モデルの予測値を得た。さらに収集した最終氷期最盛期以降の海水準指標データを、モデル予測値と比較することで地殻上下変動量の定量を行った。その結果、最終氷期以降の地殻上下変動量を海成段丘データと海水準変動モデルを用いて求め、先の隆起量と比較することで、短期・長期で異なる地殻隆起速度を示す地域を特定した。
本発表ではそれらの地質学的・地球物理学的解釈と得られた知見について述べる予定である。